Bitter Caramel ~tk×ar~ (ページ3)

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C ページ3

シロップのような、癖になる甘い味が口いっぱいに広がり、

初めての感覚に思わず、離れようとした彼を抱き寄せて、もう一度唇を重ねる。

「っ…ん」

「ふ、ぅ…っ」

「っあ、ご、めん…つい…」

「いいよ。初めてでしょ。ケーキに会ったの。甘い？」

「すごく…今までに、感じたことがない、くらい…」

「そんなになんだ。…ねぇ、高木くん。」

「な、に？」

「おれは、君の前にフォークの人間と会ったことがあります。」

「へ、へぇ、」

「でもその人は、おれのために死にました。」

「え。」

「これ以上君といると、君を殺して食べてしまいそうで、そんな自分が怖い。だからお願い。死ぬことを許してください。って、遺書を残して、屋上から飛び降りた。」

「……」

そう言えばちょうど一年前、この学校で飛び降り自殺があったな…。

「おれ…自分の愛した人になら、食べられても良い覚悟なんだけど…彼にもそう話したのに、分かってもらえなくて…今でも後悔してる。助けられなかったこと。だから、…だから、高木くんは、死なないでね？…例えフォークの本能でおれを食べようと構わないから。お願いだから…ずっと側にいてよ？」

溢れそうな涙を必死に我慢しながら言っていて、胸が締め付けられる。

「うん…分かった。」

そんな本能があると、まだ実感が沸かなくて、そうとしか答えられなかった。

「…もう授業始まっちゃう…戻ろう？」

「うん。」

ニコッと柔らかい笑顔を見せた彼の頬を一筋の涙が流れる。

「っごめん…あいつのこと、思い出しちゃって…」

止まらなくなった涙を必死に袖で拭っている。

「保健室、いく？」

「…うん。」

すでに鼻声になっている彼。

よっぽど辛かったのだろう。

チャイムがなり、静かになった階段を降りる。

「おれ、担当の先生に保健室いってること言ってく…」

別れようとした時、腕を引っ張られ、振り向くと真っ赤になった瞳をこっちに向けていた。

「一緒に、いて、ほしい…」

「え、でも、」

「君、おれの名前知らないでしょ。」

「あ…」

「だから、いっちゃ、だめ…」

歯を見せて笑い、そのまま腕を引いていき、おれはされるがまま保健室へ向かった。

相変わらず口の中には彼の味が残っている。