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コクリと頷くと、ニヤリと笑った有岡くんがそれを思いっきり自分の口に流し込んだ。



「え?」


「んー!んーんー!」



手招きで呼ばれ、状況が読めないまま近寄る。と、



「んっ…」



自分の顔の高さまでおれの顔を近づけて、キスをした。

少し暖かくなった麦茶が流し込まれる。彼の甘さが混ざりあって、少し変な味がする。



「っは、どう?」


「…どう?じゃなくてさ、そうならそうと言ってくれる?ちょー趣味悪い人みたいだったよ。人がほしいって言ったものを笑いながら取るなんて。」


「良いじゃんかぁ。キスできたんだし。一石二鳥?」


「はいはい。」



なにが一石二鳥だ。

意味わかんねぇ。



 *〜*〜*



「ねぇ、高木くん?」


「ん?」



次の日。クラスの男子に話しかけられた。



「あの…有岡くんとラブホ行ったって本当?」


「は?」



思わず反射的に答えてしまったため怖がらせてしまい、ヒッ、と向こうの血の気がひいたのがわかった。



「ごめん、そんなことした覚えはないけど?」


「え、でも有岡くんは笑顔で答えてくれたよ?」


「はぁ!?」



おれの声がクラスに響き渡り、その声に反応してクラスメートがおれの方を見てくる。

その中にいる、ポカーンとしている有岡くんに歩みより、手をとると教室から連れ出した。

4、5人の男子がからかって声をあげたけど、そんなの今は関係ない。



「ねぇ、雄也くん」



空き教室?いや、鍵ないから無理か。行ったところでばれたら即補導だし。



「雄也くん、、」



じゃあ…やっぱ屋上か。空いてるかな。空いてなかったらどうしよ。



「雄也!!」



そこで初めて、掴んでいた腕が少し震えていることに気づいた。



「なに?」


「痛い。」


「あ、ごめん。」



パッと掴んでいた右手を離すと、そのまま右手は宙に投げ出された。



「……どうしたの?そんな怖い顔して。おれ、なんかした?」



本当に心当たりがないようで、目尻には涙も溜まっていた。



「…なんで、変な噂を増やそうとするの?」

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作者名:香音 | 作成日時:2017年10月22日 11時

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