偽物彼女

雨の放課後、 ページ8

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新学期が始まり5月になった。

ソクジン先輩とは相変わらずで、ユンギとはクラスが離れてしまった。

でもクラスメイトに恵まれた変わり者の私は孤立する事無く周りと仲良くやっている

　



なんだかんだ楽しんでいる学校生活。

今日も普通に楽しかったー、で、終わる筈だったのに
目の前の土砂降りの雨を見て一気に憂鬱になってしまった。

　



またも数学の授業で居眠りをして放課後呼び出された私は1時間近くダラダラと職員室で説教を食らっていた

『…放課後すぐは降ってなかったじゃん』
大粒で強く地面に降り注ぐ水滴達を睨み付けながら1人呟く


上履きを脱ぎ自分の靴を取り出し
　
まぁ、でもソクジン先輩を先に帰らせて正解だった。
なんて頭の中で呟きながら靴を履き鞄から折り畳み傘を取り出した時



　




　



　
「…どうしよう…」

そんな声が隣の奥から聞こえ、視線を向けるとソア先輩が外を泣きそうな顔で見つめていた。




　




　
ドキッと小さく跳ねる私の心臓。
こんな近くで彼女を見るのは初めてで…まじまじと彼女を見つめていると、こちらの視線に気付いた彼女が私に顔を向けた。




　


「あ…」

私を瞳に捉えると小さく微笑んで軽く会釈して前を向き直す彼女はきっと傘を持って無いんだろう。

そう理解した私は気付いた頃にはソア先輩に歩み寄っていた






『ソア先輩』


「あ、…えっとAちゃんだよね？…ジンの彼女さ

『これ使って下さい』




ソア先輩の言葉を遮り折り畳み傘を差し出すと、彼女は驚いた様に目を大きくした。






　
「えっ…えっと、」

『私、濡れても大丈夫なのでどうぞ使って下さい。』

「ダメだよ！風邪引いちゃう、」
私の手に優しく触れて眉を下げて、ありがとう何て可愛いく微笑むソア先輩


だから、なんだかまた胸が苦しくなってソア先輩の手に強制的に傘に握らせ





　
　


『ソア先輩はソクジン先輩の大切な人なんで…私も大切にしたいんです。』
そう呟き、頭を軽く下げ走って校舎を出た。


　





　


　


　




　


雨が大嫌いなのに、今はその冷たさと肌に降り注ぐ水滴の力が心地良い。




　




ソア先輩の微笑みを間近で観てより理解した


　



あぁ、敵わないなって。凄く可愛い人だなって。



だから少しでも、あの言葉が彼女を動かす言葉になれば良い、彼が幸せになればいい。


そしたら私もこの苦しみから抜け出せるだろうから

　
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