彼の香りの先には ページ24
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いいタイミングは無いか…、そう思い始めた日からずっとソクジン先輩と居る時は意識を張り詰めていた。
だから先輩と別れると自然と張り詰めた物が消えて一気に無気力になる訳で…トイレの手洗い場の鏡に映る自分の顔はあまりにも酷い。
『…しっかりしなさい、自分。』
ぱちんっと、音を立てながら両手で頰を叩くと
じんわりと痛みが広がった。
トイレを出て廊下を歩くと鼻をかすめた香り。
それは紛れも無くソクジン先輩の香りで
ふわりふわりと香るその方向に瞳を向けるとソア先輩が居た。
どうやらこの香りは彼女から香っている様で、それを理解した瞬間、ギュッと胸が痛くなった。
何故彼女からこんなにも先輩の香りがするのか、そんな疑問からじーっと彼女を見つめていると
パッと視線が合って、小走りにこちらに向かって来たソア先輩。
「Aちゃん!」
『こんにちわ。』
目の前に立ったソア先輩からより強い彼の香りがしてまた胸が痛くなる。
「この間は傘ありがとう。ジンに渡したんだけど…無事に渡ったかな?」
『はい、受け取りました。』
私の答えに良かったと、笑う彼女の微笑みは綺麗でソクジン先輩と被り、なんだかその笑顔を今は真っ直ぐに観れなくて少し視線を下げると、
彼女が着ているジャージの上着の名前が
「김」と、書いてあって
あぁ、この香りはここから漂っていたんだと…
ソクジン先輩のジャージと理解した
その瞬間、また…ソクジン先輩の家の時と同じ様に
スッと私の中の何かが引いていくのが分かった。
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葵(プロフ) - 架純さん» コメントありがとうございます。返信だいぶ遅くなってしまい申し訳ありません!そう言って頂けて嬉しい計りです…最後までありがとうございました。 (2020年6月7日 19時) (レス) id: 7e4da3a66e (このIDを非表示/違反報告)
架純 - ごめんなさい。完結です。本当に更新されるのが楽しみな作品でした!最後まで読むことができて幸せでした。 (2020年5月11日 23時) (レス) id: 5bc4c38947 (このIDを非表示/違反報告)
架純 - 間欠、お疲れ様です。惹かれる、素敵な作品を読ませてくださり、ありがとうございました! (2020年5月11日 23時) (レス) id: 5bc4c38947 (このIDを非表示/違反報告)
葵(プロフ) - 舞子さん» 舞子さんコメントありがとうございます。もう、その様に言って頂けて嬉しく有難い計りでございます。更新中々出来ずでお待たせしてしまいすみませんでした。私もまた彼らを描けたらと思っております。最後までお読み頂きありがとうございました。 (2020年5月11日 3時) (レス) id: 53c331a9e9 (このIDを非表示/違反報告)
舞子(プロフ) - 葵さん、素敵な作品をありがとうございました。偽物彼女の世界観に浸れた日々はとても幸せでした。ユンギくんの気持ちが最後に切なく描かれて涙が出ました。またどこかで彼らに会えたら嬉しいです。お疲れ様でした (2020年5月11日 3時) (レス) id: acc8d9f98e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:葵 | 作成日時:2020年2月10日 2時