最初から分かっているのに ページ22
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JN「誰も居ないから気を遣わなくて大丈夫だよ。」
『いや、こんな立派なお家にいきなり連れて来られて緊張しない人なんて居ませんよ。」
着いてしまった物は仕方ないと、渋々玄関に入ると余りにも広い家の作りにびびってしまい
ゆっくり靴を脱ぎ、申し訳無さそうに家に上がる私を観て、可笑しな笑い声を上げる先輩を睨み付ける。
「僕の部屋、階段上がって直ぐ左の所だから。先に行ってて」そんな先輩の言葉に素直に従い部屋に入ると
ふわっと彼の匂いが私を包み込んだ。
『…綺麗。』
心からの言葉だった。
整理整頓きちんとされていて、ゴミ一つ無さそうな清潔感漂う綺麗なソクジン先輩の部屋
足を踏み入れて、背負っていたバックを下ろす。なんだか座る気分にはならなくて、私は近くの棚に歩み寄った。
そう、後悔する事なんて知らずに。
棚は上から漫画、次に香水にピアスそして最後の下の段には何故かレシピ本が並んでいて
なんのレシピ本だろう?なんて興味を持ってしまった私は1冊に手を伸ばして取り出した。それと同時にカタンッと音を立てて倒れ、裏になった写真立て。
どうやら本と本の間に挟まれていた様で…レシピ本を取り出した事により出て来た写真立てをゆっくりと手に取り、裏っ返して表を観ると
それはソア先輩の写真で、綺麗な可愛らしい笑顔で私に笑い掛けるその笑顔にスッと何かが引いて行き
少しだけ心臓が変な音を立てた。
レシピ本と写真立てを静かに綺麗に元通りに戻し、適当な位置に座ると同時にジュースやらお菓子を持って部屋に入って来た先輩。
先輩は勿論、いつも通りで
私を誘ってまで観たかった映画はコメディで、
普段様々なジャンルの映画を観る私からしても面白い映画だった。
でも、
『先輩、そろそろ帰ります。』
JN「送ってくよ。」
『いえ、いいです。お邪魔しました。』
どうしてもこの可笑しな音を立てて鳴り続ける心臓が気になって、居心地が悪くて
私はそれだけ言って彼の顔もまともに観ずに
逃げる様に先輩の家を後にした。
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葵(プロフ) - 架純さん» コメントありがとうございます。返信だいぶ遅くなってしまい申し訳ありません!そう言って頂けて嬉しい計りです…最後までありがとうございました。 (2020年6月7日 19時) (レス) id: 7e4da3a66e (このIDを非表示/違反報告)
架純 - ごめんなさい。完結です。本当に更新されるのが楽しみな作品でした!最後まで読むことができて幸せでした。 (2020年5月11日 23時) (レス) id: 5bc4c38947 (このIDを非表示/違反報告)
架純 - 間欠、お疲れ様です。惹かれる、素敵な作品を読ませてくださり、ありがとうございました! (2020年5月11日 23時) (レス) id: 5bc4c38947 (このIDを非表示/違反報告)
葵(プロフ) - 舞子さん» 舞子さんコメントありがとうございます。もう、その様に言って頂けて嬉しく有難い計りでございます。更新中々出来ずでお待たせしてしまいすみませんでした。私もまた彼らを描けたらと思っております。最後までお読み頂きありがとうございました。 (2020年5月11日 3時) (レス) id: 53c331a9e9 (このIDを非表示/違反報告)
舞子(プロフ) - 葵さん、素敵な作品をありがとうございました。偽物彼女の世界観に浸れた日々はとても幸せでした。ユンギくんの気持ちが最後に切なく描かれて涙が出ました。またどこかで彼らに会えたら嬉しいです。お疲れ様でした (2020年5月11日 3時) (レス) id: acc8d9f98e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:葵 | 作成日時:2020年2月10日 2時