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はっと、しました。
無意識に溢れた自分のその言葉に驚きました。
幸い
熟睡しているジミンオッパには聞こえて居なく、規則正しい寝息を立てるオッパに安堵したのを良く覚えています。
何故自分が彼の名前を無意識に呟いたのかこの時は分かりませんでした。
ジミンオッパが居るのに、彼の事を一瞬でも思い出した自分に嫌気が差して。
頭の中に浮かぶ彼を消し去る様に
ジミンオッパの眠る寝室を後にし、リビングのソファにグッと腰を下ろしましたが
静かな空間。
時計の針の音しか聞こえないこの空間は余計に彼を。
テヒョンオッパを思い出させるだけでした。
*
テヒョンオッパに嘘をつかれ騙されていた私ですが
私の中に鮮明に思い出される彼は
全てあの頃のままで、
優しく温かいテヒョンオッパでした。
【A、こっちおいで?】
そう言って私に手招きして抱き上げると、膝の上に乗せ仕事をしていたテヒョンオッパ。
【A、ただいま。】
毎日飲みに行く事も無く、柔軟剤の香りとほんの少し外の香りを身に纏い帰って来て私を抱き締めるテヒョンオッパ。
【A、愛してるよ。】
毎日愛の言葉をくれたテヒョンオッパ。
理解出来ました。
何故私がここまで鮮明に彼を思い出し、名前を無意識に呟いたのか。
いつの日かテヒョンオッパが言っていました。
【本当はさ、会社でやれって
言われてるんだけど
少しでもAと離れるのが嫌だからさ
誰よりも早く仕事を完璧にこなして
完璧に終わらせてってやってたらさ、
在宅勤務に変更させて貰えたんだ。】
テヒョンオッパはジミンオッパとは全てが真逆でした。
家での仕事を望み、モノにすると私を側に置きながら仕事に取り組むテヒョンオッパ。
家での仕事は極力望まぬもの、やるざる終えない環境で1人部屋に篭り取り組むジミンオッパ。
会社出勤の日でも、飲み会は勿論、タバコの香りもアルコールの香りも香水の香りも、持ち帰らずに一早く帰って来たテヒョンオッパ。
付き合いだから仕方無くも週2回は必ず飲み会があり、様々な香りを見に纏い酔って帰って来るジミンオッパ。
ジミンオッパは
「可愛い。Aは本当可愛いね。」
私を毎日「可愛い」そう言って抱き締めます。
テヒョンオッパは
「愛してるよ。」「好きだよ。大好き。この世界で一番好きだよ。」
私に毎日愛の言葉を与えてくれました。
だから。
私は気付かぬ内に、テヒョンオッパを求めていたのです。
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葵(プロフ) - rikurikurikuさん» コメントありがとうございます。お返事遅くなり申し訳ありません。そう言ってもらえてとても嬉しく思います。完全素人です…言葉間違い、可笑しい部分もありますが、楽しんで頂けたら幸いです。 (2021年6月24日 13時) (レス) id: d19507b391 (このIDを非表示/違反報告)
rikurikuriku(プロフ) - 読んで鳥肌が立ちました…。こんなことは初めてです。どの作品も凄い!すごく引き込まれます。素人の方ではないですよね? (2021年6月20日 13時) (レス) id: a0f3b29227 (このIDを非表示/違反報告)
葵(プロフ) - ヨバラズさん» コメントありがとうございます。お返事遅くなり申し訳ありません。その様に言って頂けて有り難いばかりです、ありがとうございます!! (2020年7月9日 16時) (レス) id: 7e4da3a66e (このIDを非表示/違反報告)
ヨバラズ(プロフ) - 一気に読ませて頂きました!言葉一つ一つに飲み込まれるようでした。台詞の少なさがまた、恐怖心や切なさ、喪失感を煽っていてとても面白かったです! (2020年7月3日 1時) (レス) id: 287b2c606f (このIDを非表示/違反報告)
葵(プロフ) - Nさん» コメントありがとうございます。お話楽しんで頂けて嬉しく安心しております!最後まで読んで頂きありがとうございました。また新作の方でお会い出来たら嬉しいです! (2020年6月6日 8時) (レス) id: 7e4da3a66e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:葵 | 作成日時:2020年5月10日 23時