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外に出るとさっきまでは薄明るかった空が真っ暗に染まって居て、自然と足取りが速くなる。
手に下げた袋の中にはさっき買ったばかりのプリンが2つ入って居て、そんな袋をゆらゆらと小さく揺らす度に。
彼女と一緒に食べる事を想像し思わず微笑みが溢れた。
結婚式を終えてから彼女はいつも何か思い詰めた顔をしている気がした。
そんな彼女に無償に不安になる。
少し目を離したら消えてしまいそうなんて…
何故だろうか。
だから僕は少しでも彼女と多くの時間を作りたくて、まだ処理仕切れて居ない仕事をバックに詰めて帰宅路を急ぐ。
少し経てば見慣れた大きく佇むマンションが見えて来て。
フロントに足を踏み入れ、受付の従業員さんに会釈してエレベーターに足を進めた時だった。
チン。と
小さく鳴ったエレベーターから
大きな段ボールをキャリーカートで引く男性が出て来た。
今まで一度も見かけた事のない同じ男の僕でも見惚れてしまう程。
綺麗な顔をした男性だった。
引越しかな？
そんな事を思いながらすれ違う直前に軽く頭を下げると、彼も丁寧に小さく頭を下げた。
彼が降りたエレベーターに乗り込み、自分の家の階のボタンを押す。
静かに扉が動き出し、閉まる直前だった。
エレベーターの外。
向こう側に立つ彼が。
こっちを真っ直ぐに見つめて少し口角を上げて居た。
その瞬間、ゾワッとした何かが身体を駆け抜けた。
それと同時に言い様の無い不安が湧き上がって来て、自分の指定した階にエレベーターが着き扉が開いた瞬間、走って家の扉の前に向かった。
もう慣れ親しんだ暗証番号と指紋認証を凄い速さで終えて、急いで扉を開けて部屋に入る。
自分でもどうしてこんな風になっているのか理解出来なかった。
どうして、何を焦っているのか。
でも。
それは最悪にも正しかった。
いつも
「お帰りなさい。」
そう、迎えて来れる僕に安堵と癒しを来れる声も無くて。
綺麗に掃除され夕食の香りが漂う、いつもと何一つ変わらないこの部屋なのに
何故か愛しい彼女の姿は無くて。
リビングの机
「ごめんなさい。サヨナラ。」
そう書かれた紙一枚と
あの時誓いこの手で彼女の手にはめた小さな指輪が置いてあって、
足元に
紫色の花びら1枚が落ちて居た。
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葵(プロフ) - rikurikurikuさん» コメントありがとうございます。お返事遅くなり申し訳ありません。そう言ってもらえてとても嬉しく思います。完全素人です…言葉間違い、可笑しい部分もありますが、楽しんで頂けたら幸いです。 (2021年6月24日 13時) (
レス) id: d19507b391 (このIDを非表示/違反報告)
rikurikuriku(プロフ) - 読んで鳥肌が立ちました…。こんなことは初めてです。どの作品も凄い！すごく引き込まれます。素人の方ではないですよね？ (2021年6月20日 13時) (レス) id: a0f3b29227 (このIDを非表示/違反報告)
葵(プロフ) - ヨバラズさん» コメントありがとうございます。お返事遅くなり申し訳ありません。その様に言って頂けて有り難いばかりです、ありがとうございます！！ (2020年7月9日 16時) (レス) id: 7e4da3a66e (このIDを非表示/違反報告)
ヨバラズ(プロフ) - 一気に読ませて頂きました！言葉一つ一つに飲み込まれるようでした。台詞の少なさがまた、恐怖心や切なさ、喪失感を煽っていてとても面白かったです！ (2020年7月3日 1時) (レス) id: 287b2c606f (このIDを非表示/違反報告)
葵(プロフ) - Nさん» コメントありがとうございます。お話楽しんで頂けて嬉しく安心しております！最後まで読んで頂きありがとうございました。また新作の方でお会い出来たら嬉しいです！ (2020年6月6日 8時) (レス) id: 7e4da3a66e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：葵
| 作成日時：2020年5月10日 23時
