Purple tulip 完

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意識を手放し、それは割と直ぐだった気がします。


夢を観ました。
ふわりと私の頭を誰かが撫でているのです。
それが誰なのかは分かりません。
ずっしりと重いこの瞼を夢の中でも、怠くて仕方が無い私は開ける事は出来ませんでした。


　

ただ。
何度も何度も私の頭を撫でるその大きな手の感覚はとても気持ち良く落ち着き安心する物で


『ジミン、オッパ。』

朦朧とする夢の中。
その手の主であろう彼の名前を小さく呟くのが今の私には精一杯でした。






それからも夢の中のジミンオッパは私の頭を撫で続け


数分後。
言ったのです。



「A、少し口を開いて。」

夢だからでしょうか。
ジミンオッパの声はいつもより少し低めでした。
言われた通りにゆっくりと何とか口を少し開いた瞬間でした。

私の唇をジミンオッパの唇が覆いました。




　


驚きました。
夢なのにこんなにもリアルに感じる柔らかい感触に。

しかし。
驚いたのも束の間です。
ゆっくりと冷たい水と薬が私の喉を通る感覚をはっきりと感じました。

意識が朦朧とし、瞼を開ける事もままならない。
とても薬を飲める状態じゃ無い私の為に、口移しでジミンオッパが薬を飲ませてくれたのだと分かりました。




　

　

だから。
理解したのです。

これは夢では無く現実だと。



仕事中の筈のジミンオッパ。
何故ここに居るのか。
私を心配して早退して来てくれたのだと思うと

酷く申し訳無くなりました。



謝らなくては行けない。
お礼を言わなければと重い瞼を開こうとした瞬間でした。
私の瞼を撫でながらジミンオッパは言ったのです。




「今はゆっくりお休み。A。」


やはり何処かいつもより低く感じるオッパの声。
しかしその声色が今は酷く落ち着き、優しく瞼を撫でられるその感覚に

　
　


『オッパ…あり、がとう。』


朦朧とする意識の中、

私はまた眠りに落ちました。


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