家族のことが、大切だから (ページ8)

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１５４話ページ8

『前行った島で【あやかし】ってタイトルの本を貰ったの』

ｵﾔｼﾞ「…ほう」

『それって、主人公の双子の妹が船に災難をもたらす話なんだけど』

【あやかし】の中で起こる事象は、実際にその双子の時制を辿りながら私も体験しているのだ。

もしこれが予言書や、それに値する物だとすれば、この後の出来事は最悪そのものだ。

全力で回避しなければいけない。

ただ、体験していない出来事もいくつかある。

…まだそうとは決まったわけではないし、心配させても良くない。

それにこんな話は馬鹿げている。

『…なんか、嫌な感じの話でね』

話の方向を少し曲げたことで話の終着点を見失ってしまった。

オヤジも何となくそれに気がついたらしい。

ｵﾔｼﾞ「…まぁ、悩んでることは口にしてみるもんだぜェ」

ｵﾔｼﾞ「お前が悩んでることはわかっても、口に出さないと何を悩んでるのかは分からねぇ」

ｵﾔｼﾞ「分かったら、皆で解決できることもあるんだ」

『…うん。ありがと』

オヤジなりの助言だろう。

『…そろそろ部屋に戻るけど、オヤジは？』

ｵﾔｼﾞ「あぁ、俺はもう少し夜風に当たって戻るぜェ」

『そっか。…お酒は程々にね』

そう言ってもオヤジは手を上げるのみ。

まぁ、お酒が好きだということだし、浴びるように呑まなければ大丈夫だとは思うが。

＿＿＿

部屋に戻り、ハープを壁に立て掛けて置いた。

部屋にはベッドと机、スツール、クローゼット、刀、そして山積みの本。

それから最近はまた道具が増えて、工具箱なるものが増えた。

これだけ置いていても特に狭くはなくて、貰った部屋の広さを実感する。

本の山から一冊取り出した。

【あやかし】

この本は物語がベースだが、航海記録や日誌のような内容も多い。

この作者も航海をしていたのだろうか。

……それよりも、今後起こり得る出来事について読んでみよう。

…私が大体十代半ばから後半に掛けての年齢だと仮定し頁を限定した。

すると、厄災をもたらす方の少女は一度自分の意志で下船した旨が書かれている章を見つけた。

今がもう一度乗船したところだとすれば、次起こる大きな出来事は内輪揉めだ。

この内輪揉めの章を要約すると

料理長が自分の手柄として宝を手に入れる。

しかしあるクルーはその宝をずっと求めており、料理長を殺して横取りする。

そしてそのまま広い海へ逃亡する。

と言った具合になるか。

ウチに当てはめると料理長はサッチ。

あるクルーや宝については不明か。