１９１話 ページ46
ｴｰｽ「そうだな、折角だ。挨拶ぐらいはしておくとするか」
エースはマキノさんに教わった礼儀作法を大事にしており、世話になった人間にはきちんと挨拶をする。
ルフィがお世話になっている人間もその対象なのだろうか。
…ふむ。
一つ問題があるとすれば。
そもそもルフィは私のことが分かるのだろうか。
五、六年前というとルフィは十一、二歳…。
第一、あの頃の私は金髪。
言ってしまえば別人だ。
認識されないのも無理はないが説明が面倒である。
どうしたものか。
ｴｰｽ「まっ、ドラムで誰かに伝言でも頼むとするか」
ドラムに着いてからの動きを確認しつつ、海を渡る。
＿＿＿
ドラム王国へ着いたとき、そこは酷い有り様だった。
ボロボロの街並。
憔悴した顔ぶれ。
医療先進国とさえ言われたこのドラム王国で一体何があったのか。
カランコロン…
辛うじて開店している小さな店に入る。
「…あぁ、旅の方か。悪い時期に来たね」
ｴｰｽ「…なぁ、この国で何があったんだ？」
店主のおじさんは暗い表情をして、起こったことを語った。
「たった５人の海賊だったんだ」
「得体の知れない圧倒的な力でこの国を引っ掻き回して行った」
「…あぁ。しかも王まで国を棄てて行っちまったんだ」
『…今の統治者はどうなっているのですか？』
「今はドルトンって言う男が代わって何とかって感じだな」
「でもこれで良かったんだ」
「確かにな」
ｴｰｽ「国が滅びて良かったなんてことがあるのか？」
「前の統治者は最悪だったからな。国が健全に成長するにはこれで良かったのかもしれない」
前任者はワポルとか言っただろうか。
圧政を強いる暴君だったとか。
『…ところで、その５人組のなかにこの男は居ませんでしたか？』
ペラッ…
「…っ！！そいつ！黒ひげとか名乗ってた船長じゃねえか！！？」
ｴｰｽ「…黒ひげ…船長？」
エースは怪訝な顔をして聞き返した。
「あぁ！間違いねぇ…コイツがこの国を滅ぼした張本人だ…！」
ｴｰｽ「…ティーチめ……」
ｴｰｽ「…教えてくれてどうもありがとう」
憎らしそうに名前を呟き、軽く会釈をして店を後にする。
ｴｰｽ「あ、そうだ。もう少ししたら麦わら帽子を被った男が来るかもしれねぇ」
ｴｰｽ「もしそいつが来たら、アラバスタで待つって伝えてくれ」
「…はいよ」
何が何やらと言った感じで店主は頷いた。
カランコロン…
他の店でも同様に黒ひげの情報と伝言を頼み、日が沈む頃には島を出た。
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作者名：雨狼 | 作成日時：2024年2月21日 12時
