１５１話 ページ5
ﾅﾀﾘｰ「こら、乱暴しないの」
ﾉｱ「乱暴なんてしてませんよ！」
ナースたちに囲まれ、風呂に連れられる。
ﾘﾘｰ「A、服とっておいでよ」
『うん』
タタッ
急いで階段を下り、自室に入る。
自室のクローゼットの中にある黒いジーンズと、白いカッターシャツ。
それと下着を手にとってナースの皆の元に戻った。
『お待たせ』
ﾘｱｰﾅ「良いのよ、行きましょ」
＿＿＿
ナースたちは美容に気を遣っていてお湯の温度や入浴剤、シャンプーなど、多岐に渡り厳選したものを使っている。
私は別にそういったことには無頓着であるため、適当なものを使っているとみんなが使えと各自のものをくれた。
お陰でここ暫くはシャンプーとリンスは買っていない。
湯船に浸かり、ナースの皆と談笑する。
ﾅﾀﾘｰ「にしても、Aの髪は本当に綺麗ね」
『…そうかな』
ﾘﾘｰ「そんなに綺麗に髪を長く伸ばすのは難しいのよ？」
『特に何もしてないんだけとな』
ｴﾏ「私はその真っ白な髪色が羨ましいわぁ」
ﾉｱ「確かに！」
ﾉｱ「ねぇ、Aのその髪色は地毛なの？」
『うん、そうだよ』
ｴﾏ「親譲りなの？」
ﾅﾀﾘｰ「エマ、そういう話は良くないわよ」
『気にしないで。私の両親は健在だよ』
そう。
この船では家族を失った者もいるため、こういった話はどちらかと言うとタブー視されるのだ。
『…この髪色は父親譲りだよ』
『でも私はナタリーやリリーみたいな茶髪とかノアの黒髪とか、勿論金髪も綺麗で素敵だと思うよ』
ﾉｱ「アンタひょっとして人タラシ？」
人タラシというのは人から愛されがちとか、人を誑かすというのを指すそうだ。
不本意というか、全く思いもよらない言葉だった。
『どうかな。そんなつもりはないんだけど』
ｴﾏ「じゃあAは天然たらしね」
『…天然かぁ。どうだろうね？』
ｻｼｬ「でも、紳士だよね」
ﾅﾀﾘｰ「そうね」
ﾘﾘｰ「Aみたいな男が居たら絶対私狙ってるわ」
ｴﾏ「私も」
ｴﾏ「ノアにどストレーじゃない？」
ﾉｱ「確かにタイプだね」
『…そろそろ上がるね』
話がそういう方向に逸れてきたため、被害がないうちに女性陣から離れることに。
全く、どの国でも女性は怖いな。
するっ
晒を巻いて、黒いタンクトップを着る。
鏡に映った自分の姿は、華奢な少年のようだった。
…まぁ、元は性別を分からなくするためだったからそう見えるのは正しいか。
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作者名：雨狼 | 作成日時：2024年2月21日 12時
