１８４話 ページ39
バサッ！
バサッ！
小さな鳥に姿を変え、島の中心を飛び回る。
雨に打たれながら３０分ほど捜索していると、エースは町のシンボルツリーの下に立っていた。
バサッ！
パチャン！
人型に戻り、急いで駆け寄る。
『ごめん、遅れた』
ｴｰｽ「気にすんなよ。集まる所もマトモに決めてなかったんだし」
『…ありがと』
ｴｰｽ「適当なところに泊まって情報共有しようぜ」
『そうだね』
＿＿＿
宿で食事をし、エースの部屋で話をする。
ｴｰｽ「どんな情報があった？」
『…残念だけど、これといっためぼしい情報は得られなかった』
『強いて言えば裏町で強い人を探してるティーチみたいな男がいるらしい』
ｴｰｽ「…まぁ、そうだよな」
ｴｰｽ「俺も聞いた情報はそんなモンだ」
『…明日は裏町中心に聞き込む？』
ぼふっ…
ソファーの上で足を投げ出し、だらけきった姿勢でこちらを見ている。
ｴｰｽ「…だなぁ。でもよ、もし何も新しく出てこなかったらどうする？」
『……ま、その時考えようよ』
ｴｰｽ「……裏町に入るときは絶対俺と一緒に動けよ」
『…どうして』
ｴｰｽ「A１人じゃ危ねぇだろ」
確かに今までの経験上、裏町では嫌な男たちに絡まれる確率は高かった。
心配されなくてもそれを何とかできる程の実力は備えているつもりだ。
…が、心配をかけるのは良くないだろう。
『……うん。わかった』
しん＿
会話が途切れてしまった。
…こちらから話題を提供できるほど人との関わり方は上手くないと自負している。
どうしたものか。
……これが気まずいという状況だろうか。
…私の行動一つで、エースの御魂の行く末が変わってしまうかもしれない。
魂の時間。
それは、定められているもの。
世界に生まれたその瞬間から、決して変わることのない天から授かった期間。
生きとし生けるもの
それら全てがもつ、謂わば天命。
それは生命の時間。
しかしそれを全うするかは誰にもわからない。
もし、何かを間違えてしまったら。
…いや、止めよう。
これ以上考えてもそれは不毛というものだ。
こんな確証もない事象に、更にもしもの話を想像していては終わりが見えない。
『……ふぅ』
ｴｰｽ「…どうした？」
『…いや、先は長そうだなと』
ｴｰｽ「まぁな。…今からAだけ船に戻るか？」
『そんなことするわけない』
ｴｰｽ「だよな」
ｴｰｽ「まっ、訊いてみただけだ」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 106人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：雨狼 | 作成日時：2024年2月21日 12時
