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183話 ページ38

言われたとおり島の東の浜にボードを置き、上陸する。

浜から上がるとすぐ目につく場所に、人が寄り付きやすそうなバーがあった。

取り敢えずバーへ足を進めることに。

カランコロン…

「いらっしゃい」

『…すみません。人探しをしていまして』

ペラッ…

『この人を知りませんか』

声をかけた店主は顔写真をまじまじと眺めている。

「…そうねぇ。この人を直接見た訳ではないし、ただの口伝だから話半分ぐらいに聞いてほしいんだけど」

「この間、裏町の酒場で強い人を探してる輩がいるって聞いたのよ」

「それで、この写真な人と特徴が合致しているようだけど…」

自分でも疑心暗鬼といった様子で話をしている。

この様子から見て、確証はない情報なのだろうが今はそれに縋るしかない。

『…そうでしたか。貴重な情報をありがとうございます』

そもそもあんなに古株なのに手配すらされていないのが可笑しいのだ。

モビーに乗ったときには腹心にあの野心を宿していたのかも。

それならば今の今まで息を潜めていたことにも頷ける。

カランコロン…

次はその裏町へ行ってみようか。

___

ザァァァ……

雨が降りだし、町並みから人影が消えた。

こう言うときに人が集まりやすいところには、情報も集まるというものだ。

カランコロン…

カツン

カツン

コツ……

「おやぁ、こんな所に餓鬼が一人で何しにきたんだ?」

だる絡みしてくるのは酒臭い男。

『…失礼。人探しをしています。ここにこんな男は来なかっただろうか』

ビリビリ…!

ほんの少しだけ覇気を出して脅すと、ここのマスター以外はみんなたじろぎを見せた。

「その男は見てないですね」

冷静に回答してくる辺り、恐らくこのマスターは強い。

『そう。ありがとう』

『なら、情報が集まる所を知らない?』

「…それなら、ここから北に進んだところにある列車の駅が良いでしょう」

『わかった。…ご協力感謝します』

チッ…

後ろから舌打ちが聞こえてきたが気に止めない。

カランコロン…

___

駅でもめぼしい情報は得られないまま約束の午後8時がやって来ようとしていた。

島の中央で落ち合おうと言われたものの、この島の地形からしてどこを中央と捉えればいいのか。

そもそも、島の形が一頭のドラゴンの様だからドラゴン島という名前がついているのだ。

中心となると、ドラゴンの心臓部だろうか。

いや、エースと擦れ違いになるとまずい。

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作者名:雨狼 | 作成日時:2024年2月21日 12時

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