１８２話 ページ37
次に目を覚ましたときはもう船の上だった。
「よぉ」
「俺は四番隊の隊長、サッチってんだよ」
ｻｯﾁ「仲間になるなら仲良くしようぜ」
『うるせぇ！！』
ｻｯﾁ「ハッ何だよ寝起き悪いな」
ｻｯﾁ「そうだ。気ぃ失った後のことを教えてやろうか」
ｻｯﾁ「お前の仲間たちがお前を取り戻しに来たんで、俺達が叩き潰した」
ｻｯﾁ「何、死んじゃいねぇ。この船に乗ってる」
『…錠も枷も着けずに、俺を船に置いてもいいのか』
ｻｯﾁ「枷？要らねぇよそんなもん」
笑いを含んだ声が侮辱的だった。
そんなものしなくても沈められる。
実力の差は歴然だ、と。
それからというもの、毎晩寝ている白ひげに飛びかかったり、斧で斬りかかったり。
その度に投げられたり、海に落とされたり。
毎日毎日大した根性だな、と褒められる始末。
コトッ…
毎日誰かが踞る俺のそばに食べ物を置いていく。
『…お前ら何でアイツのことをオヤジって呼んでんだ』
ﾏﾙｺ「あの人が"息子"と呼んでくれるからだ」
ﾏﾙｺ「俺達は世の中の嫌われ者だからよい」
ﾏﾙｺ「…嬉しいんだな。ただの言葉でも」
ﾏﾙｺ「…嬉しいんだ」
本当に嬉しそうに笑う顔を見て、悔しく、そして何故か悲しくなった。
ﾏﾙｺ「お前、命拾いしてこんなことまだ続ける気かよい」
ﾏﾙｺ「そろそろ決断しろぃ」
ﾏﾙｺ「今のお前じゃ、オヤジの首は取れねぇ」
ﾏﾙｺ「この船を降りて出直すか、ここに残って白ひげのマークを背負うか」
＿＿＿
Aside
ｴｰｽ「っつー訳で、俺は船にいるんだ」
ｴｰｽ「まぁ、途中からは知ってるのか」
『…まぁね。にしても、本当に血気盛んというか…』
ｴｰｽ「そうだな。考え無しと言えばそうかもしれねぇ」
『うん。やっぱりルフィと似てるよね』
ｴｰｽ「そうか？」
『ルフィも思い始めたら一直線だし、目標への直向きさっていうのはよく似てると思う』
これはまさに称賛に値する美点というやつだと思う。
ｴｰｽ「…お！島が見えてきたぞ！」
『…島に入ったら二手に別れる？』
ｴｰｽ「んー…そうだなァ…。じゃあAは島の東を回ってくれ」
『情報共有はどうするの？』
ｴｰｽ「夜８時に島の中央で落ち合おうぜ」
『わかった』
『それじゃ、私は先に行くね』
エースのストライカーにくくりつけていたロープを解き、自力の操作に変える。
ｴｰｽ「おう！じゃあな！」
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作者名：雨狼 | 作成日時：2024年2月21日 12時
