１７４話 ページ29
時刻は午前８時。
今は食堂に来ている。
いつものカウンター席で朝食を待っているところだ。
ﾉｱ「A！足を組んで頂戴」
言われた通りに足を組んで座る。
パシャッ
ｴﾏ「こっちを流し目で見て！」
パシャッ
ﾏﾙｺ「…今日もえらく気合いが入ってるねぃ」
『…だね』
ﾘﾘｰ「あーもうこっち向いてってば」
マルコの方を向いてしまったが為に顔が写らないと苦情を申し立てられた。
『…ごめんって』
ｻｼｬ「頬杖ついてみて」
パシャッ
言われるままに左手を立て、少し首を傾げ、写真に写る。
パシャッ
『…私を撮って楽しいの？』
ｴﾏ「勿論！Aみたいに綺麗な子の写真は沢山集めたいじゃない」
そう言われても、私はその感覚はわからない。
『…へぇ』
ﾉｱ「きゃー！Aが男だったら確実に狙ってるのに」
ﾘｱｰﾅ「そうよね！分かるわ！」
顔の造形は悪くないということには最近気付きつつあったが、そんなに女性に人気がある顔立ちだったとは。
ｲｿﾞｳ「おやお嬢、随分めかしこまされてるな」
『…あぁ、おはよう。イゾウ』
ｲｿﾞｳ「疲れてるな」
『うん。慣れないことするとね』
ｶﾚﾝ「笑って！」
にこり。
薄く笑みを称えると、ナース陣から歓声が上がった。
パシャッ
自分の魅せ方は熟知しているつもりだが、こんなに歓声が上がることは滅多にないため少しどぎまぎしてしまう。
ﾗｲ「お待ちどーサマ！ってA、今日は随分」
プレートを運んできたライに言われる言葉を想像するのは容易だった。
『…やめてそれ以上言わないで』
ﾗｲ「何なに照れてるのー？」
『違うけど、なんかやだ』
ｲｿﾞｳ「ククク…」
ﾗｲ「まぁ、じょーきょーは察するよ。頑張れ」
ﾏﾙｺ「…冷めないうちに食えよい」
『…ってことだから、皆また後で』
ﾘﾘｰ「えー…絶対だからね？」
『勿論』
ひらひらと手を振ればナースの皆は不満そうな顔ながらも離れて行った。
ｲｿﾞｳ「それが営業スマイルってやつか？」
笑っていたつもりは無かったが、これも最早癖というもので、ほんのり笑っていたらしい。
『…うん。接待で笑顔を絶やさないのは鉄則だからね』
ﾏﾙｺ「お前も大変だねぃ」
ｴｰｽ「ふぁ…おはよ」
欠伸をしながら食堂に入ってきたエースはこちらを見て驚いていた。
ｴｰｽ「もう大丈夫なのか？」
『うん。見ての通り着せ替え地獄に遭って生還するぐらいには』
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作者名：雨狼 | 作成日時：2024年2月21日 12時
