１６５話 ページ19
ｻｯﾁ「…本当に、助かったよ。ありがとう」
『…どういたしまして……？』
ｻｯﾁ「何で疑問型なんだよ」
『…こういうときに何て返せばいいのかわからなくて』
ｻｯﾁ「なるほどなぁ。ま、追々覚えて行けばいいよ」
『うん』
まだ体力は回復していないらしく、再び寝息が聞こえてきた。
…さて。
これから起こるであろう事象が書かれた章を読んでみた。
やはり先程思い返していた内容と遜色ない内容ではあったが、他にも幾つか気になる記述があった。
［大渦蜘蛛唆され、父を死没へと追ひやる一端を担う。］
大渦蜘蛛といえば、スクアードという一人の男を思い浮かべる。
唆されてオヤジを攻撃するということか。
身内から攻撃されるとは思ってもみず、それが致命傷の一つになったという解釈で良いだろうか。
…ふむ。
唆されるのを阻止するか、この男の行動をその場で止めるか。
前者は現実的ではないだろう。
スクアードとは面識すらないのだから。
［海底の監獄に罰を待つ炎。
いよいよその時来たり。
入れ違ひに麦わらが大監獄の最奥にたどり着く。
暴徒共放ち、また空の下を志す。
毒の牙が迫りきて窮地に立たさるるも仁義に救はる。
行く手阻む巨大なる正義を一人の身代わり打ち破る。
所うつろひて決戦の地には父と氷の当たり。
空より軍勢降りきたる。
相対する二つの軍勢。
戦火交へるも大渦蜘蛛唆され、父を死没へと追ひやる一端を担う。
愛の改めわだかまり解消し、最強と言はるる父いよいよ、戦地に足を下ろす。
海の兵士どもは新たなる策を行ふ。
圧倒されつつも引けを取らず。
父は発作になやむ。
門はそれに動揺し、次々崩さる。
さりとてなほ父は暴れ尽くす。
いよいよ、元帥が炎を罪なはむとす。
それを止めしはかの麦わらなりき。
覇王の素質に海兵ども圧倒し、直炎に向かふ。
我ら同志の力借り炎にたどり着きし麦わら。
されど、錠の鍵は壊さる。
蝋燭の男は情に厚き奇人を弔ふため組みを謀る。
蝋に作られし鍵によりいよいよ炎を放つべかりき。
皆戦場を後にせむとするも、それを阻む海兵ども。
父が囮となりて門を逃がすよしを取る。
岩漿が麦わらに攻めむとす。
炎は麦わらを守る。
岩漿が炎焼きつくし、体を貫く。
炎の意志継ぎ仁義が麦わら引き受けき。
時同じくし父は裏返り者に殺さる。
果てまでめざましきさまなりき。］
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作者名：雨狼 | 作成日時：2024年2月21日 12時
