１５７話 ページ11
弾道は見えるから、避けられる。
しかし、どこに避けても後ろから斬りかかってくるクルーが邪魔だ。
トト…
ジャキン！！
「ぅがっ！！」
クルーの一人を斬り伏せ、その肩を借りて上に飛ぶ。
ガッ！
トンッ！
ザクッ！
「ぐぅぁあっ！」
ふむ。
この船は粗方片が付いたみたいだ。
このまま船に戻るよりも後方から他の四隻を叩こうか。
トンっ！
トっ
トト…
船の残骸を踏みながら次の船へ向かう。
次の一隻には二番隊の隊員が多くいた。
バンバンッ！！
キィン！
ドカッッ！！
『ねぇ、ここはほぼ片付いてる感じ？』
「あぁ、隣の船が増援求めてるぞっ…と！」
バンバンバンバンッ！！
『ありがと』
ダンッ！
少し勢いを付けて踏み切り、隣の船へ飛び移る。
トッ！
飛び込んだ先には武器を手にした子どもが居た。
…様子から見て人質ではないだろう。
ガッ！！
あまり手荒なことはしたくないが、刀の柄で首を叩き気絶させることに。
「…んだてめぇ！？ガキが乗ってたのか！？」
ん…
この子どものことは知らなかったのか？
グッ！！
いきなり腕を捻り上げられ、行動が制限されてしまった。
まずい。
捕まった。
そのガキというのは自分を指していたとは。
「おら聞け白ひげどもォ！！このガキがどうなっても良いのかァ！！？」
首の絞められ持ち上げられる。
『…っぐ』
抗っては見るが力では到底敵わない。
ｴｰｽ「Aっっ！！！」
ﾏﾙｺ「エース！！待て！」
いけない。
みんなの足を止めてしまった。
…自力で抜け出すにはどうすればいいか。
この男はウチのクルー達に意識が行っているらしい。
適当なところで気絶した振りでもして膝を刺してやろうか。
徐々に抵抗する身体から力を抜き、目を閉じる。
「火拳のエースゥ！！お前がこっちに来て大人しくしてくれさえすればこのガキは返してやる！！」
シュッ…
油断している隙にブーツの踵から隠し刃を出し、足を振り上げる。
男は血が昇っているのか、それでも気が付かない。
ガシュッ！！！
男の膝に刃を刺す。
「うぅぁあ"あ"あ"っ！！！？」
意識外からの攻撃は想像以上に効いたらしい。
『…ねぇおじさん。知ってる？』
『刃物って刺した後捻って抜いたら大量出血しちゃうんだよ？』
そう言って男の手を抜け、捻りながら前宙して着地する。
トッ…
ドサッ……
男は気絶してしまったようだ。
『…残念。もうちょっと骨のある奴だと思ったんだけど』
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作者名：雨狼 | 作成日時：2024年2月21日 12時
