５６話 ページ8
『ああ、問題ないよ』
寧ろ身体を大きく見せるために態々盛ることすらあるのだ。
こちらとしては願ったり叶ったりだろう。
「足のサイズは？」
『足長は23.5。足幅は9.1。足甲は5.3。足囲はEだ』
「手付金は1500ベリーでございやす」
『はいよ。いつ出来る？』
「…明後日の夜ですぜ」
『了解。助かった』
マルコの耳から手を離し、帽子を被りなおす。
「……妬いちゃうわぁ」
内心薄ら笑いを浮かべつつ更に駄目押し。
『コイツは俺のモンだ』
「はは、束縛強いな。毎度ー」
＿＿＿
ﾏﾙｺ「……なんだったんだよい」
『んー、まぁ、変わった店主だったんだよ』
ﾏﾙｺ「そりゃ違いねぇがよい」
ここまで沢山買い物をしてきたがそこまで嵩張るものは少なく、小さいものは大きな袋に入れてまとめている。
私の半生分ぐらいを一度に買ってしまったかも、なんて思いながら歩みを進める。
ﾏﾙｺ「今度は何を買うんだよい？」
『……買い物はこれで終了だよ』
今は東に向かっている。
それはもう気ままに。
30分ぐらいだろうか。
暫く歩いた所で視界が開けてきた。
やっと着いたか。
ﾏﾙｺ「……花畑？」
『そう。本屋の店主さんからオススメされたの』
ﾏﾙｺ「へぇ。綺麗だねぃ」
『だね』
ここは出っ張った地形をしているため、モビーが来るはずの南の海が見える。
それまではここでまったりしよう。
＿＿＿
マルコside
買い物が終わったら花畑に着いた。
Aは花を摘んでいる。
海なんて見飽きるほど見たというのに、いつ見ても美しく優雅に、時には癇癪でも起こしたかのように荒れ狂う姿に目が奪われてしまう。
……空を見上げて寝そべってみる。
綺麗な晴天だ。
何だか心地よくなってきて。
瞬きをしたときには意識が暗転したらしい。
次に目を醒ましたときにはさっきより日が傾いていて。
しかも隣にAがいない。
『……A！？』
何処にも居ない……？
A「ここに居るよ」
後ろからそんな声が聞こえてきた直後、何かが頭に載った。
『…A？お前は気配を消すのが上手いんだねぃ』
頭に載せられたものを手に取ってみれば
『……花冠？』
ピンクや水色を始めとした柔らかな色の花で丁寧に編まれた花冠だった。
A「……マルコが、仕事頑張ってるから」
A「…頑張り過ぎないで欲しかったのと、適度に休んでほしかったから」
……末っ子にまで心配掛けるなんて俺もまだまだ青二才ってか。
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作者名：雨狼 | 作成日時：2024年1月8日 4時
