９６話 ページ48
白銀の髪を持つ神出鬼没の死神だなんて、付けられた本人もけったいなものだ。
『……嫌だねぃ』
＿＿＿
Aside
『……ん』
目を開くと、既に朝で。
何かゾクりと冷たい、不快な感覚。
昨日は何があったんだっけ。
……あぁ、モビーに帰ってきたのか。
それで、マルコに手当てをしてもらって。
エースが来たんだったか。
エースが出ていく背中を見た覚えはあるが、そこからの記憶はない。
医務室であのまま寝てしまったのか。
……あれ、違和感。
手当てされている。
記憶の中では翼しか手当てしてもらってなかったはず。
寝てしまった後にしてくれたのだろう。
そう思考を片付けて、マルコを探しにいく。
ベッドを降りて部屋の窓を見ると太陽はもう既に高く昇っていた。
珍しく寝坊をしたらしい。
だから寝起き様に不快感を覚えたのだろう。
良かった。
もう躾の支配を受ける必要がないと実感したのだった。
＿＿＿
食堂に足を運ぶと、昼食をとるためクルー達が大勢集まっていた。
その中に特徴的なパイナップル頭を発見する。
『……マルコ』
ﾏﾙｺ「おはようA。珍しく寝坊助だったねぃ」
『おはよ、手当てしてくれてありがとう』
ﾏﾙｺ「よい」
ｲｿﾞｳ「お嬢、歩き回って大丈夫なのか？」
『大きな怪我はしてないからね』
ｴｰｽ「まはひほほは？」
また仕事か？だろう。
隣でエースがご飯を頬張っている。
『そうだよ。エース、ご飯飲み込んでから話そうね』
ｲｿﾞｳ「そいつは良かった。そう言えば二週間もどこに行ってたんだ？」
『……アマナリ島』
そんな会話をしつつご飯の山に顔を突っ込みかけていたエースの顔面を受け止める。
ﾏﾙｺ「よくそんなの受け止められるねぃ」
『慣れてるからね』
ｲｿﾞｳ「さっきのアレも会話成立してたのか？」
『うん。また仕事か？って訊かれたの』
ﾏﾙｺ「本当にAの方が姉みたいだねぃ」
ｲｿﾞｳ「アマナリ島といえばグランドライン前半の？」
『うん。アラバスタとドラム島の間の島』
ｻｯﾁ「Aちゃん逆走したの！？」
私のプレートを持ってきてくれたサッチまでも会話に加わってきた。
ﾏﾙｺ「まさか一人で行ったのかよい？」
『…そのまさかだよ』
ﾏﾙｺ「……流石にウィンドサーフィンで行ったなんてことは…」
『…途中は飛んだけど、大半はそう』
ｲｿﾞｳ「そいつは凄いな」
ｻｯﾁ「Aちゃんって規格外にパワフルガールなのね？」
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作者名：雨狼 | 作成日時：2024年1月8日 4時
