家族なんて、欲しくなかったのに (ページ47)

今日:135 hit、昨日:55 hit、合計:41,057 hit

９５話ページ47

マルコと少し話をしていると

バンッ！

勢いよくドアを開ける人影が見える。

「あー！やっぱりここに居た！！」

ﾏﾙｺ「エース、もうちょっと優しくドアを開けろよい！」

ｴｰｽ「悪ぃ悪ぃ」

ｴｰｽ「それよりA！大丈夫か！？怪我してるんじゃねぇか！？」

『大丈夫だよ。まさかエース心配してるの』

ｴｰｽ「当たり前だ！俺はお前の兄貴なんだからよ」

『こんな兄を持った覚えはないよ。それに船じゃ私の方が姉だし』

『そもそも私の心配じゃなくて自分の心配をしなさいな』

ｴｰｽ「俺は大丈夫だ！」

『私に勝てたこと無いくせに』

ｴｰｽ「今なら勝てるし！」

『どうかなぁ』

ｴｰｽ「絶対俺が勝つし！」

『はは、冗談だよ。すぐ本気にしないの』

ﾏﾙｺ「それよりエース、サッチが呼んでたがそれは済んだのかよい？」

ｴｰｽ「あっ、いっけね！マルコもAもじゃーな！」

サッチが呼ぶとなると、つまみ食いをやらかしたのでは無いだろうか。

バタンッ

ドタタッ……

エースは嵐の様に過ぎ去っていった。

ﾏﾙｺ「忙しい奴だねぃ」

ﾏﾙｺ「……A？」

うっすらとマルコが私を呼んだ気がした。

＿＿＿
マルコside

エースが走り去っていくと、医務室には静寂が訪れた。

トサッ……

先ほどまでベッドに腰かけてエースをからかっていたAが横たわっている。

まさか容態が急変したのだろうか。

『……A？』

近寄って様子を伺うと、すやすやと寝息を立てているらしい。

余程疲れていたのだろう。

『全く……』

端から垂らされた足もベッドに上げ、続きの手当てを始める。

ナースを呼ぼうかとも思ったが、時間も時間だ。

申し訳なさを覚えつつ、軽く服を脱がせ全身に怪我が無いかを確認する。

擦過傷と打撲傷がみられるのはきっと船に飛び込んで来た時に出来た物であろう。

それらに薬を塗り、ガーゼや包帯で保護していく。

それも終わると服を着せ、毛布をかけてやる。

寝顔を見ると、続きの説教はもう良いかと思うほど穏やかであった。

『…仕事するかねぃ』

寝ているAを尻目に、今日の書類に目を通していく。

パラパラッ……

そこに何故か数枚の手配書が紛れ込んでいて。

その中の一枚は最近世間を騒がせている"白銀の死神"の物もあった。

名前も容姿も性別も、勿論年齢も不明。

しかし、皆口を揃えて"白銀の髪"を持っているという。

フラっと現れて人の命を奪っていく様から、"神出鬼没の死神"と呼ばれる。