家族なんて、欲しくなかったのに (ページ44)

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９２話ページ44

ﾏﾙｺ「…十六番隊は戦闘用意をしとけよい」

「「おぉ！」」

戦闘が始まるかもしれないという期待に溢れ、気合いは十分。

マルコは見張り台へと飛んでいった。

ﾏﾙｺ「様子はどうだよい？」

「…海王類も鳥もめちゃくちゃ速ぇ」

「それに、真っ直ぐこっちに向かってきてるぜ」

ﾏﾙｺ「なるほどねぃ。下に指示出してくるから異変があれば声をかけろぃ」

数秒後

「……マルコ！！！やべぇ！鳥が鳥じゃねぇ！」

緊迫した見張りの声が降ってくる。

バサッ！

ﾏﾙｺ「どういうことだよい」

「人間なんだ！……しかも、多分白い髪だ！」

ﾏﾙｺ「白い髪ぃ？Aみたいだねぃ」

ﾏﾙｺ「ちょっと見せろぃ」

マルコが双眼鏡で敵を捉える。

捉えた敵の姿は人間に白い翼が生えていて、その人物の髪は確かに白色をしている。

あれだけ白い髪を持つ人間なんてそうそう出会うことはない。

高確率でAだろうと考えたらしい。

「どうだ？」

ﾏﾙｺ「……お前ら！！海王類にだけ攻撃しろよい！！」

そんな指示が飛んできて甲板上のクルー達は混乱するも、取り敢えずマルコの呼び掛けに頷く。

ﾏﾙｺ「あの鳥人間はAだよい」

「え！？マジ？？」

その時

グワンッ！！

船体が大きく揺れ動いた。

オヤジの能力ではない。

海王類の作り出すうねりによる揺れだろう。

ﾏﾙｺ「お前ら、揺れに備えておけよい！」

了解の意を表す返答が飛び交う中、マルコはAの動向に注目する。

他の隊長達も、そんなマルコの様子に釣られて鳥と海王類に刮目する。

途轍もなく速い。

瞬きをする間だけで10mは下らない。

誰もそれを正確に、はっきりと目で捉えることはできない。

鳥との距離はおよそ100mだろうか。

鳥とモビーの距離を測り次に海王類へ目を向け、そちらとの距離を測ったときには鳥は視界に居らず。

代わりに

ドンッ！！！

という音と衝撃がモビーに響く。

＿＿＿
Aside

今までこれ程までに速く空を翔んだことはない。

そうはっきりと感じるほど、空気を斬り裂くほど速く速く、兎に角速く飛ぶ。

モビーの広い甲板には沢山のクルーが集まっている。

出来るだけ人の少ない場所を探す。

…隊長達の居るスペースの左横。
そこは他の場所より空いている。

そこに着地するしかなさそうだ。

そもそも、着地と呼べるほど綺麗に降り立てはしないだろうが。