９０話 ページ42
ﾄﾞﾌﾗ「フッフッフ、そう固くなるな」
『 ……ドフラミンゴ様、糸を外してもらえますか』
ﾄﾞﾌﾗ「断る」
何なんだコイツ。
このままでは動けない為、二本の糸を斬らせてもらう。
ﾄﾞﾌﾗ「フッフッフ…」
『……用件がないのであれば、これにて失礼致します』
ﾄﾞﾌﾗ「用件人間は嫌われるぜェ？」
『…そのような事はどうでも良いので』
ドフラミンゴから少しでも離れるべく、島の縁を歩きだす。
しかし、ドフラミンゴも大きな歩幅で付きまとってくる。
ﾄﾞﾌﾗ「冷めてんなァ。…そういや、何でお前がここに居るんだ？」
ﾄﾞﾌﾗ「仕事か？」
『……仕事です』
ﾄﾞﾌﾗ「この国でか？」
何なんだこの人は。
質問ばかりされるのは何と無く好まない。
『機密事項です』
ﾄﾞﾌﾗ「良いじゃねぇか」
『…ドフラミンゴ様には以前から申し上げているはずですが、不用意に関わらないで頂きたい』
『今後の仕事に影響が出かねないので』
ﾄﾞﾌﾗ「なら二人で国出てランデブーするか？」
『結構です』
ﾄﾞﾌﾗ「フッフッフ」
そもそも、ドフラミンゴとはビジネスライクな関係である。
ﾄﾞﾌﾗ「で、ナタリアてめぇ、こんなところ彷徨いてどうしたんだ」
『ドフラミンゴ様には関係御座いません。ご用がないようですので失礼致します』
『是非今後もご贔屓に』
それで消えようとしたのに。
ﾄﾞﾌﾗ「まぁ待て。今夜はこの国にいるんだろォ？」
『……ええ』
ﾄﾞﾌﾗ「俺のの元に来い」
『遠慮しておきます』
ﾄﾞﾌﾗ「ツレないあァ」
何とかドフラミンゴを撒いて、森の中に入る。
この国全体に監視の目が在るようなので大して意味はないのだけれど。
兎に角、明日もまたモビーに向けて航海できるようにしっかり休んでおきたい。
こんな仮初めの国でも、森には生気が宿っている。
＿＿＿
午前５時。
いつもこの時間に目が覚めるように躾られている。
小さな泉で軽く水浴びをする。
ひんやりしていて気持ちが良い。
髪を緩く結い上げる。
それも終わると、ウエストポーチと蝶舞桜を手に海へ出る。
ボードを浮かべ、セイルを揚げる。
マルコのビブルカードで進行方向の確認をしておく。
…どうやら風上の方角に居るようだ。
風上というと、ジグザグに進む必要があるため一番労力を要する。
『……ふぅ』
進もう。
＿＿＿
昼過ぎになって、ビブルカードの動きを確認してみると朝とは違う方向を示していた。
あれ、少し反れてしまったか。
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作者名：雨狼 | 作成日時：2024年1月8日 4時
