８３話 ページ35
暫く続けてみたがレイリーは本気を出していないどころか1/3…下手すると1/4しか力を発揮していないまである。
困ったな。
これは負けるかもしれない。
ダンッ！！
強く踏み切り、素早くレイリーの懐に入る。
ガキンッ！！
ガチャガチャ…！
……キンッ！！
ズサァァ……！
『……っ』
鍔競り合いを制したのはレイリーだ。
やはり力では敵わず、反発によって手に痺れを来す。
ﾚｲﾘｰ「今のは良かった。だが、あと一歩ってところだな」
容赦なくレイリーがこちらに新たな攻撃を打ち込まんとしている。
キィィィイン…！！！
あまり得意ではないが、蝶舞桜に武装色を纏わせて受け止めた。
ﾚｲﾘｰ「お、やるじゃないか」
が、手も痺れているため長くは持たない。
ガッ！！
急いでレイリーの正面から背後へと回り、刀で首元を狙う。
ガチャッ！
……フリをして、手元に刀を返す。
ﾚｲﾘｰ「…流石、と言った所だな」
ダンッ！
トッ…！
レイリーの手から剣を離させたかったが、それも敵わず距離を取られた。
この人一体幾つなんだ。
身軽過ぎる。
と思えば瞬きの隙に間合いを詰められていて、こちらに剣を振り下ろしている。
ガキンッ！！
ガチャガチャカチャ……
また鍔競り合いに持ち込まれてしまった。
しかも間合いを詰められ過ぎていた。
レイリーが私に馬乗りになっており、上から剣で押さえ付けられる。
ﾚｲﾘｰ「ここからどう脱却するのかな？」
こんな絶好のチャンスでも剣を握っていない手は出さないでいてくれる。
手を出されたら終わりだった。
『……っ！』
そろそろ手が限界を迎える。
ブォンッ！
ガッ！！
足を振り下ろして勢いをつけ、その勢いを使って無理やり剣を押しきる。
カチャッ……
押しきったところで刀を返してレイリーの首元で刃を止める。
蝶舞桜のリーチの長さを生かすことができた。
ﾚｲﾘｰ「……してやられたな」
そう溢しながら私の上から立ち退き、こちらに手を差し伸べている。
『……レイさんが本気でやってなかったから、ギリギリ勝てた』
私も、その手を握って立ち上がりつつそう言った。
『……にしても、二回目の鍔競り合いはわざとだよね』
あの状況ならば、私の刀を弾いて首を取れたはず。
ﾚｲﾘｰ「はっはっは、お見通しか」
ﾚｲﾘｰ「ミリアは技術はあるが、力不足だな」
今まで血反吐を吐くほどに鍛練してきた。
しかし、身体の成長はピタリと止まったままで筋肉だって殆ど付かなかった。
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作者名：雨狼 | 作成日時：2024年1月8日 4時
