８１話 ページ33
ﾚｲﾘｰ「待ちたまえよ。ここで会ったのも何かの縁だ。少し話さないか」
『……いえ、あの…ご迷惑になりますし』
ﾚｲﾘｰ「急いでいる訳ではないのだろう？」
『ええ、それはそうですが』
ﾚｲﾘｰ「なら良いじゃないか」
『いえ、遠慮しておきます』
ﾚｲﾘｰ「強情な娘だな。こんな老いぼれと会話するのは嫌か？」
『決してそう言うわけでは』
ﾚｲﾘｰ「なら良いだろう。良いバーがあるんだ」
ﾚｲﾘｰ「酒以外もあるから、お嬢さんも行かないか」
『……はい…』
押しに弱い訳ではない筈だが、断りきれず承諾した。
ﾚｲﾘｰ「そうだ、お嬢さんの名前は？」
『……ミリアです』
ﾚｲﾘｰ「ミリア、か。よろしくな」
『…こちらこそよろしくお願いします』
名前は偽名であると悟られないことを祈りつつ、老人の後に続く。
すると、"シャッキー'sぼったくりBAR"という店に着いた。
ここのことか。
にしてもぼったくられるのだろうか。
幸い今はお金が大量にあるが。
ﾚｲﾘｰ「ここだ。さぁ、入って」
「あら、レイさん久しぶりに帰ってきたと思ったら、連れがいるのね」
ん、帰ってきた…ということはこの二人は夫婦なのだろう。
ﾚｲﾘｰ「あぁ。すまないな」
店主の女性が店のドアへ足を運ぶ。
閉じ込められるだろうか。
女性の動向を見ていると、ドアの掛け看板を裏返している。
ﾚｲﾘｰ「ミリア、適当な席にでも座っておくといい」
『…はい』
「貴方ミリアって言うのね？てことは女性で合ってるかしら」
『はい。紛らわしいですが、女です』
「私はシャッキー。よろしくねミリアちゃん」
『こちらこそよろしくお願いします。シャッキーさん』
シャッキー……。
シャクヤクさんだろうか。
もしそうだとすればこの人も元海賊だ。
閉店してまで何をするのか。
カウンター席に座っていると、煮豆が出てきた。
ｼｬｯｷｰ「どうぞ」
『ありがとうございます』
老人は美味しそうに煮豆を頬張っている。
好物なのだろうか。
ﾚｲﾘｰ「シャッキーの作る煮豆が好物でね」
『確かに、美味しいですね』
ごめんなさい。味はわかりません。
ﾚｲﾘｰ「君はどうしてあんなところで寝ていたのかね？」
『…繁華街や観光地には入れないので』
ﾚｲﾘｰ「…あぁ、なるほど。確かにそれだけ血塗れなら大騒ぎになるだろうな」
ﾚｲﾘｰ「そんなにかしこまらないでいいのだが」
敬語の話だろうか。
『…うん』
語彙が少ないため、返す言葉が見当たらない。
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作者名：雨狼 | 作成日時：2024年1月8日 4時
