８０話 ページ32
が、先程の札束が途轍もなく重い。
ふむ。
小さくする他ないか。
小さくした札束をウエストポーチにしまう。
シャボンディ諸島からではなくても問題ないが、飛ばなければいけない。
出来るだけ力は使わないようにしよう。
…いっそのことリヴァースマウンテンを逆走……と言えるのかわからないが、飛び越えた方が方が早かったな。
次からはそうするべきだ。
＿＿＿
三日三晩飛び続けてやっと、シャボンディ諸島に着いた。
ここは土地の力が漲っている為、自身の力の回復も速い筈。
１日だけ休んで行こう。
何番グローブに行こうか。
先程少し水で洗ってみたものの、既に血は落ちるような状況ではなく。
1〜9番グローブは政府や海軍が出入りするグローブから近い。
20番代は細々と繁華街がある。
その他は観光地だ。
となると、10番代か。
出来るだけ薄暗いところが良い。
黒い服とは言え血生臭いのだ。
人には会いたくない。
13番グローブを歩いていると、大きな木の洞穴があった。
私１人が寝転ぶぐらい何てことはない。
ここにしよう。
流石に疲労があったらしく、寝転ぶとすぐに意識が暗転した。
＿＿＿
パチ……
目が醒めた。
が、その目に飛び込んで来たのは青い空と、男の顔。
？？？
状況を確認してみると、どうやら所謂お姫様抱っこ的な状態である。
取り敢えず少し暴れて男の手から逃れる。
男は白髪白髭で、銀縁丸メガネを掛けており、右目には傷がある。
この風貌、どこかで……
「おっとすまないな。お嬢さんが外で寝るのは危ないと思ってね」
変装をしていても女であるとバレた。
この老人、強いな。
私はサッと後ろに飛び退き、老人と距離をとる。
そして、軽く間合いを測る。
「はっはっは。お嬢さん強いんだな」
『貴方こそ桁違いに強いとお見受けしますが』
「…お嬢さんは頭の回転が速いのだね」
「この島じゃコーティング屋のレイさんで通っている。ここまで言えばもうわかるかね」
『………』
そうだ。
コイツ……ゴール・D・ロジャーの右腕の。
シルバーズ・レイリーだ。
ヒントを与えたということは、きっと私がこの老人に見覚えがあるが思い出せないで居たことにも気が付いていた。
これは休むどころではなくなったか。
ﾚｲﾘｰ「そんなに警戒しないでくれ。とって食おうって訳ではないのだよ」
『…お気遣いありがとうございます。では』
そう言って去ろうとした…
筈…。
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作者名：雨狼 | 作成日時：2024年1月8日 4時
