７８話 ページ30
素直に答えたら逃がして貰えないだろうか。
『…嵐に巻き込まれた時』
ﾛﾋﾞﾝ「翼を休めるために乗り込んだのかしら？」
『そうだ』
ﾛﾋﾞﾝ「名前は？」
『…ミドラ』
ﾛﾋﾞﾝ「ミドラ、貴方をここから出してあげるわ」
何故かは理解できないが、運良く逃がして貰えるらしい。
『そうか、助かる』
そう言い残して部屋の窓から飛び立つ。
ﾛﾋﾞﾝ「貴方どうかしてるわね。敵に助かる、だなんて」
『……褒め言葉として受け取っておくよ』
バサッ！
アジトを飛び立って、方角を確認する。
グランドラインの中は方位磁石は機能しないが、基本的な星の動きはその他海域と変わらない。
だから精度は落ちるが四方位ぐらいならわかるようになっている。
アマナリ島はアラバスタの北側だから……。
こっちか。
アジトから離れたところでサイズを戻しておく。
ずっと北に進んでいると、島が見えてきた。
新しい島でなければアマナリ島である。
＿＿＿
間違いなくアマナリ島である。
アマナリ島は、中心に棒状の岩山が聳え立つ。
シンボルとも言えるようなそれは、確かにあった。
……で、依頼内容をおさらいしておこう。
今回は"掃除"だ。
つまり、殺し。
ターゲットは……ラグロウア、だったか。
190前後の長身だが猫背な金髪の男だ。
左目の下に黒子があるのだそう。
賞金首なら掲示板に手配書も貼ってあるだろう。
あった。
掲示板を見つけて側の路地に降り立つ。
駆け寄って見ると確かに見た目の特徴も、名前も合致する手配書があった。
賞金は8500万ベリーと、前半の海にしてはやや高めだ。
情報を集めなければならない。
掲示板の周りには人が沢山おり、手配された人の顔を見て話している。
「…このラグロウアっつーやつ、さっき酒場に居たぜ」
「は？まじで！？どこの？」
「σάκε και σνακだよ」
「サケカイスナク？」
サケカイスナク…酒とつまみという意味の言葉だろう。
「看板の文字が読めねぇけど酒は美味い酒場だよ」
「あー！あったなそんなの」
ふむ。
有力な情報だな。
『ラグロウアがその酒場に居たのっていつ頃だ？』
「んー、30分ぐらい前だったかなぁ」
『そうか。ありがとう』
適当なタイミングで会話に混ざると、訊いてきたのが誰かなど気にせず反射的に答える人間も多い。
今回もそうだった。
サケカイスナク……。
何処だ。
適当な店に入って店員に訊いてみようか。
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作者名：雨狼 | 作成日時：2024年1月8日 4時
