家族なんて、欲しくなかったのに (ページ27)

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７５話ページ27

翼とレイピアがあしらわれたドクロマーク…。

baroque worksの船だ。

バロックワークスといえば秘密犯罪会社で、最近サー・クロコダイルが設立したんだったか。

私も下っ端として潜入したことがある。

しかも雑魚どもの掃除の依頼も多く、結構儲かったのを覚えている。

顔は見られていないし、もし仮に見られていたとしても今の容姿ではなかった為バレることはまずない。

そもそも、バロックワークスの船に知らない人間が乗っていること自体がまずい。

……いや、しかし。
バロックワークスは最近アラバスタを拠点にしていると聞く。

もしかするとこれはチャンスなのかもしれない。

そう思い、直ぐに行動を始めた。

＿＿＿

まずは翼を仕舞う。

それから物陰に隠れなければ。
ちょうど積み荷の木箱が積んであった為、それらと壁の間へと移動する。

一度靴を脱ぎ、靴の底上げに使っていた板を海に投げ捨てておく。

靴を履いたら術を掛けて小さくなる。

この際後のデメリットは考えずにアラバスタ、最低でもレッドラインを越えることに重点を置く。

ふむ。

結局10cm程度の小人になることにした。

これでひとまず見付かりにくくなったはず。

＿＿＿

ガチャッ

ドォンッドォンッ！

人の足音が煩く響く。

タッタッタ…

人が扉を開けた隙に急いで船内に侵入していく。

タッタッタッタ……

船内を暫く駆け回っていると、ある部屋にたどり着いた。

そこには、サー・クロコダイル本人が居た。

そのとなりに居るのはニコ・ロビン。
彼女はミス・オールサンデー…と呼ばれていた筈。

つまり、社長と副社長が揃っている。

意味がわからない。

バロックワークスは秘密主義で互いの素性は詮索しないのが掟だっただろう。

先ほどすれ違った人間も甲板に居た人間も、どれもエージェントではなかった筈だ。
新世界に居るのであれば恐らく、ビリオンズの一部だ。

なのに、幹部…いや、トップが居るなんて。

気を抜かない様にしなくては。

弱っている今なら存在がバレると確実に死ぬ。

兎に角、魚人島を経由して浮上するまでは決して悟られてはいけない。

クロコダイルならばマリージョアルートで往来出来るのだろうか。

…どうせ船を捨てなければいけない。
多分コイツらも魚人島ルートを通るだろう。

＿＿＿

取り敢えず棚の上の小物の陰でやり過ごした。

……揺れが少なくなって２日。
恐らくコーティング中だろう。

コーティングはあと少しで終わるはず。