７４話 ページ26
あの壁は高いからなぁ。
出来ることなら新世界だけで活動したかったが、そんなことも言っていられない。
ぼんやりと世界地図を思い浮かべてみる。
といっても、世界地図なんて売られていないからツギハギだらけの地図になるが。
前半の海と後半の海、つまり新世界を繋ぐのは2つのルートがある。
１つは魚人島経由ルートだ。
海底にあるため身１つでは到底行けない。
魚人島へ行く適当な船にくっついて行こうか。
いやいや、バレたらまずい。
もう１つは聖地マリージョアルートだ。
政府に申請して許可を貰う必要がある。
正直面倒。
それに、私も悪人だ。
万が一でも身分がバレてしまったときが困る。
アマナリ島は正確には、ドラム島とアラバスタ王国の中間にある。
…となると、
ふむ。
二回も
カームベルトは風が吹かないため、完全に自力で飛ばなければならない。
しかも休む場所もない。
面倒だ。
……やっぱりマリージョアの上を飛ぶのが一番良いかもしれない。
それなら直行できる。
少々危険だが、最も簡単で速い。
仕方がない。
行こう。
＿＿＿
午前７時ごろに船を出てから飛び続けているが、既に午後6時。
そろそろ日が沈む。
まぁ、夜も飛び続けるため関係はないが。
綺麗な夕陽。
その30分後、急な嵐に見舞われた。
夕陽が見えたら次の日まで晴れるのが相場だろうに。
いや、まぁグランドラインはそういう常識は通じないが。
ザァァァア……！
大雨に次いで風が吹き荒ぶ。
こんな荒れ狂った天気の中飛び続けられる程の筋力は私にはない。
どこか、留まれる場所……。
刹那
目の前に黒くて大きな影を見つけた。
船、だろう。
動いている。
こんな嵐に巻き込まれるなんてこの船も災難なものだ。
そんなことはどうでもよくて、取り敢えずこの船の船尾へ着地させて貰うことにした。
ドサッ……
翼が水を含んで重い。
こんなところを航海するなんて十中八九漁船ではない。
詰まるところ幽霊船なるものか海賊船か、はたまた海軍の軍艦かの三択だろう。
……ふむ。
人の気配はある。
ということは幽霊船ではないな。
見聞色で見る限り、海軍でもなさそうだ。
となると、これは海賊船である。
一体どの海賊なのか。
あ。
海賊旗あった。
あったけど。
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作者名：雨狼 | 作成日時：2024年1月8日 4時
