家族なんて、欲しくなかったのに (ページ25)

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７３話ページ25

ｻｯﾁ「昨日酔い潰れた奴らのために二日酔いに効くモン作るんだ」

そうか。
今回の宴も酔い潰れたクルーたちは沢山いる。

『なるほど。そうしないと船がグロッキーな人達で溢れるもんね』

ｻｯﾁ「……おう。あれはヤバかったぜ」

過去に経験があるのだな。

となると、サッチは酒に強いのだ。

昨日も大量に酒を飲んでいた。

『二日酔いには大豆類とかのタンパク質が良いんだよね』

ｻｯﾁ「そうだな。あとはターメリックとか、シジミとかが良いな」

タウリンやウコンなどが効くんだったか。

『やっぱり詳しいよね』

ｻｯﾁ「そりゃあ、コックやってるからな」

＿＿＿

『何を運べば良い』

ｻｯﾁ「そうだな…。そこのニンジン運んでくれるか？」

箱に詰まった大量のニンジン。

『いいよ』

それを繰り返した。

ニンジン、タマネギ、ジャガイモ……など。

『……カレー作るの』

ｻｯﾁ「お！分かるか？俺っち特製の優しさたっぷりカレーだ」

『本当、流石だよね』

ｻｯﾁ「Aは褒め上手だよな」

『そう？』

ｻｯﾁ「どんなことでも褒めてくるだろ？」

私としてはそんなつもりはなく。

ｻｯﾁ「っと、手伝ってくれてサンキューな」

『どういたしまして』

ｻｯﾁ「何か飲んでくか？」

『んーん、いいよ。ありがとう』

ｻｯﾁ「はいよー」

＿＿＿

ふむ。
少し時間を食ってしまったが、大した問題でもないか。

甲板からボードを下ろす。

しかし今日は風が強いな。

今なら誰も見ていないし、飛んでも良いかもしれない。

……そうしよう。

バサァッ…！！

翼を広げ、甲板の端から飛び立つ。

風貝を使ってボードの空気を抜く。

私の飛行速度は速いがホバリングは得意ではないため、手元が覚束ない。

やっとの思いでボードをしまうと、見張りにも見つからないぐらい船体の近くを飛ぶ。

バサッ

バサッ

やはり風に乗るのは気持ちが良い。

船体から離れてから暫くは気を抜かない様にしなくては。

運が悪ければ見張りに見つかってしまう。

服装も服装だ。
見付かれば私だとは分からず攻撃されるだろう。

私の出せる最高速度で海を飛び行く。

＿＿＿

もうモビーが見えないほど遠い海に出た。

アマナリ島は偉大なる航路(グランドライン)前半の海にある。

つまり、一度赤い土の大陸(レッドライン)を越えなければならない。

どのみち一度は飛ばなければいけなかったのだし、この際飛んでしまっているのは良いことにする。