６９話 ページ21
『そう。それでね、国や町によって身分を変えなきゃいけなかったの』
嘘は言っていない。
『だから、ゴア王国のフーシャ村ではアルカって名乗ってた』
ｴｰｽ「あぁもう…わっかんねぇー！」
『…えーっと、エース、アルカはAでAは私なんだよ初めから』
ｴｰｽ「……なる、ほど、？じゃあ、最初からアルカはAでお前もAで…」
何故鸚鵡返しをするのだろうか。
ｴｰｽ「本物…なんだよな……？」
『うん。そうだよ』
ガバッ…！
急にエースが抱きついてきた。
『うわ、どうしたの』
ｴｰｽ「…生きてたぁ……！！何で、何も言わずに出ていったんだよ！！」
それは確かに心残りだったのだ。
『…ごめんね』
ｴｰｽ「俺らが、どれだけ探したと…！！どんだけ心配したかわかんねぇだろ！！」
『うん、わかんないな。ごめんね』
エースが私を抱き締める力が強くなっていく。
ｴｰｽ「……すびっ…Aが生きてて、良かった」
鼻を啜る音が聞こえる。
『あれー？エース、泣いてるの？』
なんて、おちょくってみる。
ｴｰｽ「……うっせぇ！」
更に抱き締める力が強くなった。
ギュウゥ……！
『ん、ちょ、苦しい』
『ねぇエース、苦しいってば』
ぐぅ……
『え、エース寝ちゃった…』
それでも抱き締める力は緩まなくて。
『誰か、助けて』
ｻｯﾁ「うわ、すげー力だな…」
そう言いながらもエースを引き剥がしてくれた。
『ありがとうサッチ』
ｻｯﾁ「良いってことよ！」
ﾏﾙｺ「エースを医務室に運んでくれよい」
ｻｯﾁ「はいよ」
＿＿＿
日暮れを過ぎてから、正式にエースが家族になることを祝う宴が開かれた。
ｴｰｽ「おいAー！呑んでるかー？」
『いや、私お酒は飲まないよ。エースもう酔ってるでしょ』
ｴｰｽ「酔ってねぇ！！」
ｴｰｽ「Aも呑め！」
『わ……！んぷっ』
無理やり酒を口に注ぎ込まれてしまい、吐き出すわけにも行かないし飲み込むことにした。
『ほど程にね』
ｴｰｽ「おぅ！」
なんて言いながら酒瓶をラッパして暴れている。
ﾏﾙｺ「うちの末っ子は相変わらずお転婆だねぃ」
ｲｿﾞｳ「全くだ」
『そうだね』
…そう言えば、私は末っ子卒業だろうか。
『ねぇ、私って末っ子卒業するの』
ｲｿﾞｳ「……あぁ、そうなるな」
『…私がエースのお姉さんになるのかぁ』
ﾏﾙｺ「…嬉しそうだねぃ？」
『そりゃね。ずっとエースにも、ここのみんなにも末っ子扱いされてたんだもん』
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作者名：雨狼 | 作成日時：2024年1月8日 4時
