６８話 ページ20
ｻｯﾁ「何がだ？」
ｲｿﾞｳ「お嬢がこの薬膳を顔色一つ変えずに完食したんだ」
ｻｯﾁ「はぁ？嘘だろ！？」
『……味覚がないとしか思えないねぃ』
＿＿＿
Aside
薬膳、見た目がどうであれそれほど不味くはなかった。
味覚がはっきりしていないが、ほんのり苦味と酸味を感じた気はする。
本当のところは分からないが。
それからというもの、1週間はあの薬膳が毎食出てきた。
時々塩味も感じたため、中身は日によって違うのかもしれない。
甲板の様子を伺うとエースはまだ戦っている。
暫くして、音がなくなった。
ｵﾔｼﾞ「グラララァ、俺はお前を気に入ってんだ。仲間になれ」
ｴｰｽ「フザケんな！！！」
でも闘う力は残っておらず、身元預かり人であるサッチが回収しに行く。
世話係のティーチがそれを受け取り、軽く手当てを始めていた。
そのうち、100回負けたら仲間入りするなどという噂も流れ始めた。
エースは一体どうするつもりなのか。
今のままではオヤジは到底敵わない相手だと、気が付いているだろうに。
ふむ。
どうしたものか。
＿＿＿
あれから更に数日
またエースが闘って、やられている。
ｲｿﾞｳ「……100回、いったか」
ｻｯﾁ「嗚呼、今のが100回だ」
ﾏﾙｺ「おい。火拳、そろそろ決断しろぃ」
ｵﾔｼﾞ「グラララァどうするたァ訊かねぇ。エース、家族になれ」
ｴｰｽ「………おぅ」
「新しい家族だぁ！！！宴やるぞぉ！！！」
なんて騒がしい家族たちを尻目に、髪をブロンドに染めてエースに近付く。
『エース』
ｴｰｽ「……アルカ！？」
ｴｰｽ「何でこんなところに、は？え？おま……生きてたのか！？」
『ふふ、久しぶり』
ｴｰｽ「……本当にアルカか？俺ら、てっきり…お前が死んだんだと」
『生きてるってば』
ｵﾔｼﾞ「なんだお前ら知り合いかァ」
『うん。小さい頃に会ったことがあるの』
ｴｰｽ「アルカ…お前……変わってねぇ」
『そうだね。あの頃にはもう成長は止まってたんだ』
ｴｰｽ「は？んな訳ねぇだろ！？やっぱり偽物なんじゃ……」
『エース。落ち着いてよ』
エースは取り乱している。
ﾏﾙｺ「……エース。コイツはAだよい。アルカじゃねぇよい」
『そう。今はAって名前だし、本当は銀髪なんだよ』
ｴｰｽ「嘘付いてたのかよ」
怒っただろうか。
『…嘘っていうか、そうだなぁ』
なんて説明しようか。
『じゃあお仕事の話覚えてる』
ｴｰｽ「…世界を渡り歩いてるっていう」
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作者名：雨狼 | 作成日時：2024年1月8日 4時
