６５話 ページ17
少しの企みをしながら、靴と刀の仕上がりを待った。
その間も、仕事をしながら過ごす。
……なんだ。
マルコ達と別れてから、不思議な感覚に襲われた。
心に穴が空いたような。
…いや、そもそも私なんかが心というものを知覚しているわけがないではないか。
きっと、気のせいというやつだろう。
＿＿＿
別れた次の日には靴を受け取り、その２日後には鞘の漆が乾いたらしくレオナさんにお礼を言って受け取った。
やっと、船へ向かえる。
まるで待ち遠しかったような、そんな感覚。
たった3日でこんな感覚になるなんて、まるきり意味が分からない。
この３日こんなことを考えてばかりだったが、そんな思考を捨てるようにセイルを開いて海に出た。
そこそこ長い航路になるためハーネスを付け、腕の負担を減らすことにした。
モビーまでの道のりの間に髪をブロンドに染め、ポニーテールにしておく。
エースはどんな顔をするだろうか。
これは楽しみ、というやつだな。
それからほぼ丸一日海を走り続けた。
マルコのビブルカードはまだ先を示している。
モビーが３日で進む距離を考えても、次の島に停泊していると考えられる。
エースもジンベエさんも無事だと良いが。
エースと初めて会った時はどんなだったか。
確かエースは15、ルフィは12だったか。
つまり５年位前の話となる。
ゴア王国に行けと命令があった。
その時の仕事はターゲットを監視することだった。
期間は決められておらず、長い時間監視を続けるほど報酬は上がっていった。
その仕事を始めて２ヶ月した頃、ターゲットはフーシャ村に滞在しはじめた。
コルボ山という村の近隣の山に寝所を構え、監視を続けていた。
コルボ山に二人の子どもがいた。
「おーい！おまえ！そこで何やってんだ？」
「バカっ！話しかけんなって！！」
『……君も十分声が大きいよ』
「おれルフィ！こいつはエース！おまえは？」
『………アルカ』
その時はアルカという少女として生きていた。
「アルカ！一緒に遊ぼう！」
そこからは一方的なマシンガントークだった。
サボというお兄ちゃんのこと、シャンクスのこと、マキノさんのこと、それからダダンさんのことなど。
その頃二人はマキノさんに挨拶の仕方を習っているらしかった。
ダダンさんの所に半ば強引に連れ去られ、半年ほどお世話になったんだったか。
それからターゲットが亡くなって仕事が終わったため、ゴア王国を離れたのだった。
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作者名：雨狼 | 作成日時：2024年1月8日 4時
