６４話 ページ16
「おはようございます！」
『おはようございます。チェックアウトしたいのですが』
「承知いたしました！」
料金を払って、鍵を返す。
「またのご利用をお待ちしております」
まだ薄暗い時間だ。
店だって開いていない。
船に戻ることにしようか。
船が見える所まで出ていくと、船に明かりが灯っているのを見つけた。
こちらから見えるすべての部屋が明るい。
何か、あったのだろうか。
タラップも降りていて、昨日船から降りたであろう人々が続々と戻って来ている。
奇跡的な話だな。
しかし、こうしてみると大きな船だ。
船内や甲板は慌ただしく人が走っている。
船内でマルコとすれ違った。
『あ、マルコ』
急いでいるところ申し訳ないが取り敢えず引き留める。
ﾏﾙｺ「Aか、良かった帰ってきてたんだねぃ」
『何があったの』
ﾏﾙｺ「…海侠のジンベエって知ってるかよい？そいつと、火拳のエースが一騎討ちしてるんだとよい」
海侠のジンベエといえば、七武海の一員である魚人だ。
そして、火拳のエースとはまだルーキーであるにも関わらず物凄い勢力で力を付けているスペード海賊団の船長だ。
その二人が一騎討ち？何故。
そんな思考は放置しておいて、気になっていることを訊く。
『…ジンベエさん達がいる島へ向かうの』
ﾏﾙｺ「そうだよい」
と言うことはそこそこ近い海域に二人は居るのだろう。
『なら、暫く私はこの島にいるね』
ﾏﾙｺ「……あ、そうか。刀がまだだったねぃ」
本当は靴もまだであるが。
『そう。後から追いかける』
ﾏﾙｺ「……わかったよい。とは言っても誰のビブルカードも持ってないだろぃ？」
なるほど、ビブルカードがないと追い掛けることも難しいのか。
ﾏﾙｺ「ちょっと待ってろぃ」
＿＿＿
マルコが自室から小さな紙を持って出てきた。
ﾏﾙｺ「俺のビブルカードだよい持っておくと良いよい」
ﾏﾙｺ「裏に俺の電伝虫の番号書いておいたよい」
『ありがとう』
これで追い掛ける際の問題はなくなった。
『引き留めてごめんね』
ﾏﾙｺ「気にすんなよい」
そう言って足早に歩いていった。
……ふむ。
荷物を軽く準備して島に戻るか。
そう思って部屋でウエストポーチに服を詰めた。
私が船を降りると、程なくして離岸していった。
その姿を見送って町に目を向ける。
…やはり野宿しよう。
＿＿＿
それにしても…もうエースが海に出ていると思うと何とも言えない気持ちになる。
少し脅かしてやろうか。
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作者名：雨狼 | 作成日時：2024年1月8日 4時
