６１話 ページ13
『うん。この子は私の相棒だからね』
『刀についてはこんなものかな』
ﾚｵﾅ「Aって凄いんだね」
『そう？ありがとう』
ﾚｵﾅ「あーもうAちゃん好き」
ﾚｵﾅ「マルコさんAお持ち帰りするね」
ﾏﾙｺ「そりゃ困るねぃ。そうなった時には力ずくで取り返すよい」
いや、私の所在ぐらいは決めさせて欲しいものだが。
ﾏﾙｺ「今日は一先ず帰るよい」
『ん』
ﾚｵﾅ「乾燥には３日から5日ぐらい掛かるから、それまでは預かっておくよ」
『はーい』
レオナさんが、小さなメモ用紙を手渡してきた。
ﾚｵﾅ「私の電伝虫番号だ」
『え、良いの？』
ﾚｵﾅ「勿論さ。大事な友達だからね」
友達、か。
『はは、ありがとう』
『じゃあまた来るね』
＿＿＿
街を抜けて南に停泊している船に戻る。
ﾏﾙｺ「そろそろ夕飯の頃だと思うから、Aも必ず食堂にこいよい」
『……うん』
食べなきゃいけないんだろう。
嫌だな。
部屋に戻ってウエストポーチを下ろす。
今日買ったのは私服、仕事服、本、メイク用品、それからカラコン、ヘアカラースプレーだ。
靴は明後日取りに行く。
言われてみると仕事に関するものばかり。
別にそれで良いと思っているし、私は仕事しか能がないと言えば確かにそうなのだ。
クローゼットの右半分に私服、左半分に仕事服を収納する。
本来は洗濯したいところだがモビーのように人が多いと一度に使う水はかなりの量になるため、遠慮してしまう。
多分私が数枚出してもそれほど変わらないだろうが。
メイク用品やカラコンなどはクローゼットの下に付いている引き出しに。
本はブックスタンドを使って部屋の端に立てておく。
…よし。
食堂に行くことにしよう。
＿＿＿
食堂は既に多くのクルーで賑わっていた。
ﾏﾙｺ「お、来たねぃ」
カウンター席に招かれ、マルコの隣に座る。
目の前に出されたのは殆ど具材の入っていないスープだった。
ﾏﾙｺ「固形じゃないものからスタートして吐かないようになったらだんだん固形物にしていくよい」
『なるほど』
スープなら吐くことはないはずである。
『いただきます』
そのまま残すことなく食べ終えた。
ﾏﾙｺ「気持ち悪いかよい？」
『いや、スープぐらいなら大丈夫だと思う』
ﾏﾙｺ「なら良かったよい」
この後は何をしようか。
書庫の本は粗方読んだし、そもそも本を読みたい気分ではないような気がする。
ふむ。
モビーに乗船したとき提示した条件はひとつ。
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作者名：雨狼 | 作成日時：2024年1月8日 4時
