５０話 ページ2
『これで知らない人じゃないね？』
『貴方のお名前は？』
「……カイト」
『そっかぁ、カイト君か。かっこいいね！カイト君はどっから来たかわかる？』
ｶｲﾄ「……わかんない」
『ん〜……じゃあさ、お家のそばに何があったか覚えてる？』
ｶｲﾄ「……公園と、パン屋さん」
『パン屋さんかぁ』
この島は粗方回っているため、何となく何処に何があったか思い出せる。
パン屋、３つ思い浮かぶな。
パン屋があるようなところはどこも人が多いため公園もある。
ﾏﾙｺ「……送り届けるのかよい」
『そうだよ』
ﾏﾙｺ「約束の時間に間に合わないが、良いのかよい」
『……最悪別の方法を考えるよ』
『……カイト君、君が知ってるパン屋さんはチューリップが咲いてなかったかい？』
ｶｲﾄ「……咲いてなかった」
『ん〜…じゃあ、そのパン屋さんの近くにおもちゃ屋さんはあった？』
ｶｲﾄ「あった！」
となると北側か。
おもちゃ屋さんは記憶に良く残っていたのだろう。
食い付きがいい。
思い出したものにパン屋が含まれるとなると、きっとこの子はパン屋に何か思い出があるのだろう。
『そっかそっかぁ、じゃあパン屋さんで好きなパン買ってあげる』
ｶｲﾄ「やったぁ！」
『じゃあ行こっか！』
歩き始めるとカイトはこちらの手を握ってきて。
そっと握り返すと嬉しそうな笑顔を見せた。
ﾏﾙｺ「……コイツの家はわかったのかよい」
『うん。昨日粗方回ったからね』
ﾏﾙｺ「流石だねぃ」
最初は警戒していたものの私がマルコと話しているのを見て安心したらしく、カイトはマルコとも手を繋ぎたがっている。
マルコもそれに気がついたらしく、手を繋いでやっている。
10分ほど歩くと、カイトの歩みは遅くなってきたことに気づく。
『あらら、疲れちゃったかな？だっこする？』
ｶｲﾄ「する……」
そう言ってしがみついてきたのをしっかりと抱き止める。
『よいしょ。マルコ、刀持ってて』
ﾏﾙｺ「俺が抱こうかよい」
『んーん、いいよ。あ、疲れたら代わってもらうね』
ﾏﾙｺ「よい」
……ふむ。
ということはこの子の家はパン屋から10分圏内と考えるのが妥当か。
ﾏﾙｺ「……手慣れてんだねぃ」
『うん。兄弟居たからね』
何だか懐かしいな。
＿＿＿
30分北に向けて歩くとこじんまりとしたパン屋が見えてきた。
古そうな佇まいでパン屋特有の匂いがする。
腕の中でうとうとしてきた所悪いが君には起きていてもらわねば私達が誘拐犯になる。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 144人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：雨狼 | 作成日時：2024年1月8日 4時
