強くたっていい。だろ？【青葉城西】

可愛く言ってよ ページ10

『矢巾、はいタオル』

「…」


タオルを渡そうとしたらなぜか黙りこくった矢巾を不審に思い、思わず首をかしげる。

　
『え、何』

「前から思ってたんですけど、何で俺名字呼びなんですか」

『え？そんなの決まってんじゃん。…矢巾だから』

「違う！！いや、それはそうなんだけど！！」

『お前大丈夫？』

「だって渡はわたちゃんだし、金田一は太郎ちゃんじゃないですか！」

『及川、国見、あと矢巾』

「…何で俺そこ」

『及川はウザいし国見は生意気だし矢巾は…

…見た目真面目っぽいのに中身チャラくて、でもちゃんと礼儀しっかりしてるから女子にモテそうで腹立つ』

「理不尽！！でもちょっと嬉しいのが悔しい！！」

『何？あだ名で呼んで欲しいの？』

「当たり前ですよ！！しげるちゃん♡とかかわいく呼んで欲しいです」

『はぁ？』

「でも俺らもかわいく言ってもらったことないよな」

『まつっちゃんじゃん。急に出てくんなよビビるわ』

「そうだよな。たまにはマネージャーらしく“花ちゃん頑張ったから何かご褒美あ・げ・る♡”みたいに可愛く言えよ！」

『ごめん、マネージャーらしくって意味がマジで分かんない』

「花のは願望出過ぎてて笑うww」

「なんだよ！じゃあ松は何言って欲しいんだよ！」

『話ズレてね？』

「え〜俺か〜。“＜ピー＞してあげる…♡”とか？」

『うわ、内容はセーフなのにまつっちゃんが言うと放送禁止用語だわ』

「何ソレひどい」

「え〜何の話？？」


傍を通りかかった及川が話に入ってくる。


“キラリと光る汗が似合う 期待のイケメンバレー選手”


月バリで及川の特集が組まれた時のタイトルをなぜか思い出してしまった。

それが否定できないところにも無性にイラッとする。




※ちなみに松川さんが言った単語はマッサージです。

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