強くたっていい。だろ？【青葉城西】

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自分のプレースタイルに不満があるわけじゃないけど、俺みたいな奴にならなおさら頑張って、じゃないのか。


今までだって散々言われてきた。

“もっと頑張れよ”
“もっとがむしゃらにやれよ”

ーーうるせぇって。いつも内心で舌打ちしてたけど。


目の前の人がよく分からなくて、でも何を言いたいのかも分からなくて、自分でも驚くほどしどろもどろな言い方になってしまった。


先輩はそんな俺に首を傾げつつも、至極当たり前のように言った。


『ここにいる奴らは全員もう頑張ってんじゃん』

私から言う必要はねぇだろ、と。


相変わらずこの人は女子のくせに口が悪い。そんな今は関係ないことを思わず考えてしまうほど、俺にとってその言葉は理解不能だった。



『まぁお前はやる気無いように見えるっちゃ見えるけどな』

そう言ってしょうがないなぁとでも言わんばかりに笑った先輩は、なんて言うか本当に「先輩」って感じがして。

“ああ、この人には一生敵わないのかもしれない”
なんて馬鹿みたいなことを心の底から思った。



『ホラホラ、話はまた聞いてやるからとりあえず今は練習な』


その言葉に軽くお辞儀をしてからコートに向かう。

別に話したい事がある訳ではない。
元々馴れ合いが好きな訳でもないし、むしろ面倒事は嫌いだ。



…でも。

必要最低限な時だけしか関わらないって、あれはやっぱり訂正。


…近付いてみたいと、ふと思ってしまったから。




ただの顔見知りだった筈の先輩に、訳も分からず心惹かれたーー高校一年の、とある春の日の事。

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