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「はい…あの、ありがとうございました」
その綺麗な人はそう言って頭を下げた。
『ううん。無事ならよかった』
じゃあ、私はこれで。
そう言って背を向けようとする私を引き止めるように、その人が再度口を開いた。
「あ、あの。…私、烏野高校の清水潔子といいます。もしよけれは、お名前を教えていただけませんか」
…声まで綺麗って何事。すごい。
出てきた素直な感想を、何でもないように喉奥に押し込んだ。さすがに引かれてしまう。
私なりの精一杯の微笑みを口元に乗せ、「別に名乗るほどの事はしてないんですけど、」と前置きするように呟いた。
『私、青葉城西高校の夏瀬Aって言います』
「夏瀬さん、ですね。本当にありがとうございました」
『私の自己満だから気にしないで…っていうか清水さん、ちなみに何年生?』
「三年です」
『お、やっぱり同じ!だからタメ口にしよ』
お互いに。
そう言ってニヤリと目を細めた私を見て、「…わかった」と清水さんがゆるりと微笑む。
美人の微笑みは心臓に悪い。
思わず内心で、及川には会わせられないな、と呟いた。だって、絶対惚れるし、アイツ。
「あ、あと…」
清水さんが申し訳なさそうに眉を下げる。
「ほっぺた少し傷になってる…」
『あれ、マジで?』
触ってみるもあまり痛くないし、さっきの感触的にも少し掠っただけだから大した事はないだろう。
そう判断して、「放っとけばすぐ治るから大丈夫」と、安心させるように目を細めてみせた。
「あ、じゃあ…」
そう独りごちた清水さんが自分の鞄から可愛らしいポーチを取り出す。少ししてからこちらに向かって差し出されたのは、一枚の絆創膏だった。
「これ、良かったら使って」
『え、いいの?ありがとう』
人の好意は素直に受け取るべし。そう判断した私は清水さんの方に頬を向けた。
『じゃあお言葉に甘えるついでに、貼ってもらってもいい?』
「ふふ、うん」
清水さんの声は聞いていてとても心地がいい。鈴のような笑い声は、冗談なしでほんとにずっと聞いていられる。
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雨音(プロフ) - Lunaさん» コメントありがとうございます(^^)わわ、ニヤニヤしてくださいましたか(*^^*)こちらこそ読んでくださってありがとうございます!とっても嬉しいです╰(*´︶`*)╯♡またお暇な時にでも是非覗きに来てくださいませ(*´-`) (6月20日 20時) (レス) id: 9d08cd299b (このIDを非表示/違反報告)
Luna(プロフ) - はじめまして!夢主ちゃん、カッコ良すぎてニヤけました🥹素敵なお話ありがとうございます😊 (6月17日 20時) (レス) @page22 id: ae56522889 (このIDを非表示/違反報告)
雨音(プロフ) - 赤葦くんのお嫁に行かせてさん» わわ、嬉しすぎるお言葉ありがとうございます(*^◯^*)そしてこちらでも返信遅れてすみません…(TT)目指せかっこいい夢主ちゃん!で書いたのでそう言っていただけてめちゃくちゃ嬉しいです(*´꒳`*)励みになります!!ありがとうございました(TT) (2023年2月11日 18時) (レス) id: 9d08cd299b (このIDを非表示/違反報告)
赤葦くんのお嫁に行かせて - 夢主ちゃんめっちゃかっけぇw女でも惚れるわ(( (2023年1月10日 21時) (レス) @page24 id: 8eae8b626f (このIDを非表示/違反報告)
雨音(プロフ) - 麗さん» 二つとも見落としていました…。訂正いたしました、ご指摘ありがとうございました!! (2020年8月24日 23時) (レス) id: 57a2e7dd63 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:雨音 | 作成日時:2020年5月23日 23時