【HQ】烏野高校に通う、とある少女の話８

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「…素直じゃねぇなぁ」


呆れたような笑い声が頭上から降ってきた



…アナタの前で今更素直になんてなれないです、

なんて言えるわけもなくじっとうつむいていると、伸びてきた長い指に顎を掬われ強制的に視線を合わせられた




「…それ、俺の事好きって言ってるようなもんだって自覚してる？」


黒々とした瞳が私を射貫く



…ダメだ

こんな至近距離で見つめ合ったら私の心臓がやられる


そう判断して私はついと目を逸らした



『…好きじゃないです』

「ったくお前ってやつは、」

『好きじゃないです』



…ああ、可愛くない


好き、だなんて可愛く言えないよ

　


『…先輩なんて、


私の事好きになってくれない先輩なんて、嫌いです…ッ』


ついにこらえていた涙がぽろりと一粒こぼれ落ちた



先輩、ごめんなさい


子供みたいなこと言って、

困らせちゃって、


ごめんなさい




…でも、でもね


お願いだから伝わって



“好き”

言葉にできないこの二文字



胸を焦がすようなこの想いは


…少しはあなたに届いていますか？




なんだか怖くなって目をぎゅっと瞑っていると、不意に肩に何かがかけられた気がして目をそっと開けた


目に入ったのは鮮やかな赤



―彼ジャージ♡―


あんなくだらないやり取りが、今はとても懐かしくて

…少し、羨ましい



ジャージに気を取られていると、不意にそれごと先輩の方に引き寄せられた



回された腕が、この前よりも少しだけ強い気がする、

そんな事を回らない頭の片隅でぼんやりと考えた時には、私は既に先輩の腕の中にいた




「…ごめんごめん、意地悪し過ぎちゃったな」


そう言いながら軽く頭を撫でてくれる先輩の肩におでこを押しつけながら、震える唇を叱咤して今一番聞きたいことを口にする



『…先輩は私の事どう思ってるんですか…？』



ここまできてまだからかってるだけなら乙女の純情を踏みにじった罰として制裁してやる

雪恵さんとかおりさんに言いつけてやるんだから


そう息巻く私に



「好き」

先輩は間髪置かずにそういい放った

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