【HQ】烏野高校に通う、とある少女の話８

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「…秋のせいだよ」
　

思わず目を見開いた




「…お前がそんな顔でそんな事言うから」

“連れ去りたくなっちゃった”

そう言って木葉さんは私をじっと見つめた




不意に顔が熱くなり慌てて下を向く





「…さーて、どうしてくれようか」

『え…』



木葉さんの長い指が私の首をつつとなぞる


思わず体を震わせた私を見て、先輩は軽く笑った




「…なーんてな、別に取って食う気なんかねぇから安心しろよ」



体から一気に力が抜け、後ろにあった壁に背を預けて寄りかかる


そりゃ緊張もする



静かだし

…二人きり、だし





『うう…ちょっと緊張しちゃいました』

「あー、やっぱ可愛い欲しい」

『それ前も聞きましたよ』


そう言ってふふっと笑うと、突然腕を引かれ体がグラリと傾いた




『わっ…』


そのまま前に倒れ込むと同時に、先輩のぬくもりに包まれる


頭と腰に回った腕にようやく現状を理解して、自分でも分かるくらいに頬が赤く染まった





「…お前が欲しい」


聞いたことのない真剣な声に、思わず胸がキュッとなる




「…好きだよ」

『え、え、』

「Aが好きだ」

『…っ』



…ズルいよ


こんな時だけ名前を呼ぶなんて





「Aは俺のこと嫌い…？」

『なっ…』


体を離し、目をじっと見つめられる


目を細めて首を傾けながら私を見下ろすその仕草がやたらと色っぽくて
吸い込まれるように目が離せなくなった





…そこでふと気付く



先輩に付いてきた時点で

もう私に選択肢は残されていないのだと





(…でも)


やっぱりこうも思ってしまう


　


他の誰でもないあなたになら

操られるのも悪くない





(…なんだ、私)




と っ く に 貴 方 に 堕 ち て い た






返事の代わりに今度は自分から目の前の人に抱きついた



「…そういうことでいいの？」

『…聞かないでください』

分かってるくせに

そう呟くと先輩が微かに笑う気配がした

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