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とある日。
有体に言えばーー運命の日。
突然にやってきたこの日を境に、私の日常生活が思いもよらぬ方向に走り出す事をーー、
ーーこの時の私は、まだ知らない。
.
夜、8時。
くたくたになりながら仕事からアパートに帰ってきて、いつも通り階段下に設置されているポストを開ける。
ポストの中の、紙の手触り。
カサリ、紙同士が擦れる音。
いつも通りの請求書か、なんて。
そんなことを何となしに思いながら、まとめて取り出したハガキを片手に、部屋への階段を登っていく。
カンカン、とヒールから響く金属音がやたらと耳について。
思わず漏れそうになった溜め息を、何とか奥歯で噛み殺した。
鞄から取り出した、お気に入りのマスコットがついた鍵を鍵穴に差し込んで回すと、返ってきたのは嫌というほど聞き慣れたガチャン！という荒々しい音。
開けたドアの先は当たり前だけど真っ暗で、そこに待っているのは静寂のみ。
ただいま、なんて言う方が寂しくなる事を知っているから、何も言わずにヒールを脱いで部屋に上がり、電気をつける。
机に持っていたハガキをぽい、と置いて、すぐさまテレビをつけると、途端に流れ出す明るい笑い声。
それに少しだけほっと息をついて、そうしてスーツも脱がずにソファへと座り込んだ。
「…疲れたぁ」
ぽつり。無意識に落とした一言が静寂を波紋のように揺らして、そうしてすぐに溶けていった。
体が重い。足も重い。ついでに心まで重くなっている気がして。
今度こそ漏れた溜め息に気づかないふりをして、そうして机の上に広がっていたハガキやら封筒やらを手に取った。
白と黒を基調とした紙の上に、印字された文字が並ぶ。
形式的で、事務的で。
そんな無機質な郵便物の中、
「……手紙？」
色のついた便箋は、モノクロの世界に咲いた一輪の花のようで。
ーーー酷く、目についた。
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雨音(プロフ) - とまと。さん» コメントありがとうございます！未熟者ですが表現の仕方とか言葉選びには自分なりのこだわりを持って書いているので、そう言って頂けてとっても嬉しいです(๑˃̵ᴗ˂̵)励みになります(^^)ありがとうございました！！ (9月29日 19時) (
レス) id: 9d08cd299b (このIDを非表示/違反報告)
とまと。(プロフ) - 表現の一つ一つが魅力的で物語に引き込まれました！ (9月27日 21時) (レス) @page5 id: 880d93815c (このIDを非表示/違反報告)
雨音(プロフ) - 夜星さん» 夜星様、嬉しすぎるお言葉ありがとうございます…(´；ω；`)とっても恐れ多いですが、すごく励みになります…！少しでも楽しんでいただけるようにぼちぼち頑張っていくので、またお暇な時にでも覗きにきてくださったら嬉しいです(*^^*)ありがとうございました！ (5月21日 22時) (レス) id: 9d08cd299b (このIDを非表示/違反報告)
夜星(プロフ) - 文字量多いと書いていましたが、そんなことないですよ！場面や感情の描写が丁寧だと自分がその場にいることを想像しながら読むことができるので、雨音さんの書き方はとても好きです！気長に更新待っていますので、無理せず最後まで書いていただきたいです！ (5月20日 12時) (レス) @page30 id: 3020618f52 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：雨音 | 作成日時：2023年4月3日 0時
