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「なぁ、俺ずっと思ってたんだけど、お前その髪地毛なん?」
近付いてきた一人が馴れ馴れしく花ちゃんの肩に腕を回す。
「…そうだけど」
そいつを鋭く睨みながら短く答える花ちゃんの後ろ、据わった目がこちらを射貫いた。
『…花ちゃん』
焦りを悟られないよう、普段通りの声音で花ちゃんを呼ぶ。
『悪い。私こいつらと元々知り合いでさ、話あんだわ』
だから、先体育館戻ってて。
そう告げる私に、花ちゃんは再度顔を歪めて、そうして、
「…嫌だ」
そう吐き捨てた。
意思を持って放たれたその言葉に、思わず眉を下げる。
『…何でよ』
「なぁ、それ本気で言ってんの」
『…何が』
何も分かっていない私に呆れたのか、花ちゃんが顔をしかめながら後頭部をガリガリと掻く。
次いで落とされた深い溜め息に思わずムッとした私を、先ほどよりは幾分か柔らかくなった眼差しがそっと包み込んだ。
「怯えてるお前放って帰れるわけねぇだろ」
動きを止めた私の腕を、前方から伸びてきた腕がそっと掴む。
「…行くぞ」
『待って、花ちゃん』
「だから嫌だって」
『ちょっと、』
…ああ、このまま連れ出してもらえたら、と。
甘ったれた事だと分かってはいながらも、本気で願ってしまった。
…でも。
《ーーお前の味方する奴も同罪な》
振り返った先、あの日と同じ蔑むような視線がこちらを見据えて冷たく光る。
“逃がさねぇぞ”
凍るような瞳のその下、弧を描くように歪んだ唇が、ゆっくりと動く様をーー見た。
「かっこいい〜」
「…は?」
「でも、俺らと話があるって言ったじゃん」
後ろから伸びてきた腕が強引に私の手首を掴んだ。
加減無しに握られ、更には容赦なく爪を突き立てられ、歪みそうになる顔を何とかこらえる。
痛みで段々と冷えていく頭の中、逃げだそうとした先ほどの私を咎める誰かの声がした。
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雨音(プロフ) - @ あのせ。さん» わわ、嬉しすぎるコメントありがとうございます(≧∀≦)とりあえずハンカチどうぞ!!そして存分にイライラをぶつけてくださいませ!笑 じゅ、10回!?思わず笑っちゃいました(*´∇`*)熱量が伝わってきてとっても嬉しいです!ありがとうございましたT^T (2023年1月13日 15時) (レス) id: 9d08cd299b (このIDを非表示/違反報告)
@ あのせ。 - 感情移入しすぎてめっちゃ泣きました(泣)早く桃原殴りたいです(やめろ)とりあえずあと10回は見直してきますっ! (2023年1月12日 10時) (レス) @page35 id: 928e357de3 (このIDを非表示/違反報告)
雨音(プロフ) - あずきさん» あずき様!!二度もコメント下さってありがとうございます(≧∀≦)続編ありがとうなんて嬉しすぎて泣いちゃう…T^Tそして追いコメントはむしろ作者へのご褒美ですな(๑˃̵ᴗ˂̵)あずき様が気持ちを抑えられなくなるように頑張ります!!! (2022年6月21日 22時) (レス) id: 9d08cd299b (このIDを非表示/違反報告)
あずき(プロフ) - わー!続編ありがとうございますー!気持ちを抑えられずまたコメントしてしまいました!照れ泉さんも男前泉さんもいいですよね。えっと、続編行っても気持ちが抑えられなくなったらコメントしちゃうかもです!続編でも作者様のペースで疲れないペースで頑張って下さい! (2022年6月20日 23時) (レス) @page50 id: 121db8bbe8 (このIDを非表示/違反報告)
雨音(プロフ) - atchoさん» 同志…!!マッキーよきですよね(*´꒳`*)♡そしてそして嬉しすぎるコメントありがとうございます(T_T)そろそろお話が動いていくのでまた見てくださるととっても嬉しいです╰(*´︶`*)╯本当にありがとうございました!! (2022年6月2日 21時) (レス) id: 9d08cd299b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:雨音 | 作成日時:2022年4月28日 20時