お前の弱点【呪術廻戦】

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ふと足を止めたのは、その美味しい八つ橋の売っているお店まで、あと10歩ほどの場所だった。

見た事のある人物が、駅構内を歩いていた。









禪院甚爾。





禪院家に生まれ、天与呪縛を与えられた男。

なんで私が分かったのか。





彼には呪力というものが存在しない。普通の人間でも微量の呪力は存在している。呪術師となると、またさらに多くの呪力を持っている。

私の今日の任務とは全く関係がない。けど、会いたくないし、話したくもない。話したことはある。割と最近。





私が家を出る前の、会合の時に1度。そう言えば婿入りしたらしいけど、何で会合にいたんだろうね。訳わかんないや。



ま、そんなことはどうでもよくて。



何度も話したことはあるし、顔見知りだから、会えば何かしらは話せると思う。けど、怖い。いきなり切りかかって来そう。

絶対、すれ違いたくなかったから、わざわざ遠回りをして、その店に入ろうとした。





肩を掴まれるまでは。





「よぅ、嬢ちゃん。元気だったか？」

「多分、会うまでは元気だった」

「なんだ、つれねぇなぁ」





見つかった。





ニヤニヤしながら、顔を見てくる。

しかも肩痛いほど掴まれてる。離してくれないと多分肩外れそう。任務前に怪我したくないからそろそろ離してほしい。掴まれたの3秒前とかだけど。





もしここで、切りかかってくるようだったら、他の人に迷惑かかるから、とりあえずどっか場所変えない？って言って移動した。


逃げるつもりは無いし、逃げ切れる自信はない。ゼロ。可能性はないに等しい。




なのに、肩を掴んだままにしてくる。お願い、痛いからそろそろ離して。

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