君が何をしたって【鬼滅の刃】

変わらないはず ページ31

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「！」



『あ、もしかしなくても……カナエちゃん？』


私より背が小さかったのに、私の背をいつのまにか抜かしていた。凄いなぁ、というものすごく簡単な感想が頭の中で浮かんだ。



「ごめんなさ、い。あの時、私が、」



『え、何が？』



私はその”ごめんなさい”の意味がとてもわからず、問い返した。


「……鬼が喰おうと、口を開けてたところを見てたのに、何もできなかっ……いや、しなかったの」


その言葉一つ一つには後悔が詰め込まれていた。揺らいで、不安定な足場に立っているようだった。



『私は、しなかったのは違うと思う。私はカナエちゃんが手を伸ばそうとしてくれたの、知ってるから。もちろんしのぶちゃんも。結局、間に合わなくても間に合っても、変わってなかったと思うんだよね』


気づけば、そう口から言葉が出ていた。全て変わってない事は無いけど、あの時の私なら生きていてもすぐまた鬼に喰われていただろうし。


「…………？ 私が貴方を助けていれば、貴方は喰われずに生きていたかもしれない。姉さんは私より多い手の数を相手にしていた。
鬼の頚が斬れなくても、引っ張って助ける事くらい出来るはずなのに、私ができなかった。

全部、私のせいなの」



しのぶちゃんは、ごめんなさいと泣きながら繰り返した。だんだん声が小さくなっていく彼女を見て、また勝手に言葉が出ていた。

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