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寝室に入ると同時に、暗闇の中でもう一度口づけをし、そのままベッドに押し倒した。
トロンとした目で俺を見ているAの頬に触れる。
「執筆は？」
「それよりもAに触れたいんだけど」
「でも……」
「あの作品の女の人さ、Aがモデルなんだよね」
「えっ」
「秘密にしておこうって思ったんだけどさ」
「ありがとう、モデルにしてくれて。すっごい嬉しい」
「他の人にAのこと知ってもらいたくないけどね」
「私のこと知ってるのって、NEWSのメンバーくらいでしょ？」
「小説の中でも、Aのこと読者に好きになってもらいたくねぇの。俺だけのものでいて欲しいから」
「大丈夫だよ。私、あんなに魅力的じゃないし」
「バーカ。Aのこと、みんなに自慢したいくらいなんだけど。だから書いてるわけ」
そう言うと、Aは俺の下であからさまに照れている。
俺も相当恥ずかしいこと言っているけれど、すでに理性なんてものはない。
「言い訳に聞こえるかもしれないけど、この作品執筆している間、ずっとAに触れたくてさ。いや、Aに触れたかったからこの作品書き始めたのかも。Aが言った通り、俺の頭ん中にずっといるんだよ。それに、久し振りに会えたし、もう抑えらんねぇわ」
「なんか今日のシゲ、大胆だね」
「この作品が出版されたら、公表していい？ 俺たち付き合ってます、って」
「そんなことしたら、シゲ大変になっちゃうよ？」
そう言って微笑んだAに、今度は深く口付けをすると、甘い声を漏らした。
「言っとくけど、Aのこと中途半端に愛してねぇから」
「私もシゲのこと中途半端に愛してないよ」
「今夜はとことん付き合ってもらうから。どれだけ本気なのか分からせてやるよ」
「いいよ？」
この作品の結末に、結婚するっていうのは、出版されてAが読み終わるまで教えないけどな。
end.
終わり
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作者名：雨中遊 | 作成日時：2018年9月20日 2時
