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今日は彼女が俺の家に泊まりに来ている。
ドラマの撮影やら、ツアーやらでバタバタしていて、ようやく昨日から落ち着いた。
そんなこんなで、Aに会うのは久し振りだ。
Aは一般人だけど、アイドルの俺をよく理解してくれているし、アイドルじゃない俺自身のこともよく理解してくれている。
これから先ずっと、Aが家にいればいいのにな、なんて思う。
スタスタとスリッパの音が執筆部屋に近付いて来て、チラッと横目で見ると、風呂から上がったAが髪を拭きながら入って来た。
執筆している俺を気遣ってなのか、「お風呂上がったよ」と控えめに声をかけてきた。
ていうか、色気ヤバいんだけど。
勿論、このシチュエーションは初めてじゃないし、むしろ見慣れてもおかしくないくらいの回数だ。
それでも毎回理性が壊れかける。
平常心を保とうとパソコンの画面に集中するが、頭が回らない。
Aは、そんな俺の心理状態に追い打ちをかけるかのよう、隣に立った。
「執筆中？」
「うん。新作を書いてる」
「シゲってすごいよね。つい最近までドラマとかツアー回っていたのに、ひと段落したら執筆でしょ？ あまり無理しないでね？」
「ありがとう、A」
「今度はどんな話なの？」
「んー、ざっくり言うと、恋愛モノ」
「本当、ざっくりだね。早く読みたいな」
「まだまだ途中だけど、読んでみる？」
椅子から立ち上がり、Aに触れたい衝動を抑え一歩下がる。
Aは椅子に座り、余計なところを触らないよう慎重にスクロールしながら、パソコンの画面に映し出されている文を読みだした。
俺のTシャツを着ているAの後ろ姿って、何て言ったらいいかよく分からないけれど、破壊力がすごいし、風呂上がりで少し汗ばんでいる首筋が、さらに胸の鼓動を早める。
落ち着け、俺。と言い聞かせ、コーヒーを淹れにキッチンへ向かった。
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作者名：雨中遊 | 作成日時：2018年9月20日 2時
