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新クラス初日の今日、うちのクラスに話題だった6人の中の1人の松村がいるというのに、誰も松村に話しかけていない。
松村じゃなくて他の5人だったら、きっと朝から盛り上がっていた。
なんだか松村がちょっと可哀想な気もするけど、私は6人に対してこれっぽっちも興味がないから、どうでもいいこと。
そもそも、イケメンだからなに?って感じ。
本人たちもそう言われて満更でもなさそうだし。
顔が良いって、人生での武器になるけど、足枷になることもあるのに。
わけわかんない。
それにしても、うるさい。
本当にうるさい。
こんなことになるなら、トイレ非常階段に行ってお弁当を食べるべきだった。
どうせ私は一人だし、せめて静かなところで食べたい。
「ねえ、うるさいんだけど」
気づいたら声に出していた。
6人の視線が私に向いた。
「だから、うるさいんだって」
あんなに周り気にせずに騒いでいたくせに、あからさまに困っているし。
なんなの、ほんっと。
北「……すみません」
松村が私のことをじーっと見ている。
てか、口、半開きなんだけど。
「なに?」
北「え、あ。……すみません」
2回目の謝罪はなにに対してなの?
ほんっと、意味わかんない。
タイミング良くチャイムが鳴って、5人は教室から出て行った。
次の授業の準備をしながら横目で松村を見てみると、机の上をぼーっと眺めていた。
さっきの笑顔が嘘だったみたいに温度のない表情をしている。
なんなの、この人。
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作者名:雨中遊 | 作成日時:2021年7月19日 17時