【A3!】 お庭番長の妹さん。 【茅ヶ崎至】

い　も　う　と　36 ページ37

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いつものように家事を終え、部屋でフリータイムを楽しんでいた。
そう、ゲームの時間だ。


「＿＿＿＿あ、たるちさんそっち行きましたよ」

《マジか。いや、湧きすぎ、半分よろ》

「了解です、ぶっぱなします」


今日も今日でたるちさんとボイチャでやり取りをしながらマルチでプレイをしていた。
カタカタとマウスを動かす音が部屋に響く。

私がヘッドセットをつけてしゃべりながらゲームしている光景も、いづみさんはいい加減見慣れたようで、私の横でスマホをいじっていた。


「よっし、あとHP半分まで削った...！！」

《このまま叩き込むわ》

「お願いします」


私がそう言うと、画面で派手なエフェクトで攻撃が決まると、CLEARの文字がデカデカと表示された。


《おつー》

「おつですー。...ん、レアドロ少な、しょっぱいですねこりゃ」

《まああと5周くらいすれば集まるっしょ》

「先は長いですねー...」


そのあと、ある程度クエストをやった所で、少し休憩をすることになった。
ゲーム内のルームに入り、固まった肩を回すとボキボキと大きい音が鳴った。

＿＿＿もう既に時間がかなり経っており、いつの間にかいづみさんはお風呂だかトイレだか、とにかくいなくなっていた。

(ほんと、ここに来てからますますゲームとか趣味に走っている気がする...)

実家にいた時は、親の目があったしましてや学生の身であったからここまでやり込む暇はなかった。

寮では、学生であることには変わらないが...勉強はいつもお兄ちゃんが教えてくれるし、何よりゲームに関しては私がやらずとも向こうから誘ってくるのだ。

(まあそれはそれでありがたいんだけど)


「...にしてもたるちさん。いつになったら正体を教えてくれるんですか〜」


今日も相変わらずボイチェンを使ってくるたるちさん。
リアルタイムがダメなら...！とたるちさんの実況動画を漁ったのだが、普段からあの喋り方をする人もいない。
声のトーンも多分リアルとは違うのだろう。実際検討もついていない。


「...ん〜、気が向いたら。」

「そんなのいつまで経ってもやってこないでしょ！
」


何故ここまで頑なに正体を教えてくれないのか、不思議でしょうがないが、本人がこう言ってる以上その日はやってこないのかもしれない。


「...るな子さんはどうしてそこまでして俺の正体が知りたいわけ。」


俺がこんなに知られたくないって拒否ってるのに、と少し真面目なトーンでたるちさんは言った。

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