い も う と 40 ページ41
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「あぁ…なるほど、ふむ…」
あれから数時間。
私と咲也先輩は、至さんに数学を教わっていた。
学年も違うし、やってる内容も違うわけなのだが、至さんは割と器用に教えてくれていた。
(とんでもなくわかりやすい…、理系教科に関してはお兄ちゃんより上だな…こりゃ…)
もともと理系なんだろうか。
こうもすらすら問題が解けてしまうのは自分でも初めてで正直驚いている。
さすが元家庭教師…。
「にしても、咲也もAも手がかからなくていいわ…。教えたら秒で解くし。」
「至さんが教え方がわかりやすいんですよ!ね、Aちゃん!」
「はい!こんなにすらすら解けるのは初めてで驚いてます…」
私たちが交互に褒めると、至さんは照れたように笑った。
いいからやるよ、と照れ隠しのようにまた教え始めた。
真剣な表情で、教科書片手に教える姿は本当様になっているし、シンプルにかっこいい。
私がぼぉっと至さんの顔を眺めていると、それに気づいたのか私のおでこにデコピンをかました。
そこそこの威力を感じ、ぴぎゃ、と情けない声が出てしまう。恥ずかしい。
「こぉら、せっかく俺が教えてあげてるんだから、集中して。」
「すみません…、至さんが教えてる姿めちゃくちゃ様になってたので…つい。」
地味に痛むおでこをさすりながら言うと、至さんは数秒間停止したあと、褒めても何もでないからと、むすっとした表情でまた私のおでこにデコピンをくらわすのだ。
(照れてるのくっそかわいい…でも地味に痛いんですけど…)
「至さん!!ここ教えてください」
「はいはい、咲也はえらいね。」
私だって、ちゃんとできますよ!と対抗するかのように再びペンを動かし始めた。
ノートに広がる数字や記号たちに思わずため息をつく。
本当、数学って学年が上がるたびに難しくなっていくのだからため息がとまらなくなる。
「…至さん、ここなんですけど…」
「ん?…あぁ、そこね。ここは_________」
私の後ろから心地良いの良い低音で、公式何やらを教えてくれる。
わりと近い距離だからか声が耳元で聞こえて少しくすぐったい。
…いやでも、意識してしまう距離感だ。
至さんの話が、右から左へと流れていく。
正直内容が入ってこないし、顔は熱いし、心臓はバクバクなりっぱなしでもう頭の中は大混乱だ。
(いや、ちょっと待って…なんで私こんなドキドキしてんのさ…?!)
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雨村(プロフ) - 夢花(仮垢)さん» わわわ!!!本当ですね!!笑なんだか危ない感じに……( 報告ありがとうございます、修正しておきます!! (2018年10月14日 22時) (レス) id: a3cc1f37d6 (このIDを非表示/違反報告)
夢花(仮垢) - 36のとこで、勉強がべんきになってますぞ…最初色んな意味でビビりましたわw (2018年10月14日 21時) (レス) id: 1ce7d18474 (このIDを非表示/違反報告)
雨村(プロフ) - にゃるさん» ありがとうございます…!!最近は更新ペースがなかなか安定しなくて本当申し訳ないです。頑張ります!!! (2018年8月22日 1時) (レス) id: 291ab6483c (このIDを非表示/違反報告)
にゃる(プロフ) - いつも更新楽しみにしています。これからも頑張ってください (2018年8月21日 21時) (レス) id: 1eb7bde713 (このIDを非表示/違反報告)
雨村(プロフ) - 通行人Aさん» ほんとだ!!間違いです、すみません(><)ご指摘ありがとうございます!!修正しておきます。 (2018年8月21日 11時) (レス) id: a3cc1f37d6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:雨村 | 作成日時:2018年7月23日 0時