【A3!】 お庭番長の妹さん。 【茅ヶ崎至】

い　も　う　と　17 ページ18

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「んー...」

(たるちって言うぐらいだから...本名と関係してたり？)

イベントそっちのけで、“たるちさん”が誰なのか悩んでいた。
ハンドルネームは、わりと本名に由来することが多い気がする。
現に私のハンドルネームは“月岡”の“月”から“ルナ”。
そこに“子”をつけただけの、シンプルな名前だ。

(たるち...んん、茅ヶ崎さんしか思いつかない。)

だが、あの茅ヶ崎さんがたるちさんだとは思えない。
あの完璧エリート商社マンの茅ヶ崎さんが、たるちだなんて。
ゲームとか鼻で笑いそうな気がしてならない。


「名前に、“た”とかつく人？」


そんなこと言ったら私には幼馴染のたーちゃんしか思いつかないのだが。
ますます泥沼に浸かって来た気がする。

(とりあえず、部屋にいるっぽいたーちゃんに聞いてみようかな)

きっと、お兄ちゃんと一緒に部屋にいるはずだ。

(というか、何で私、こんなにたるちさんのこと必死に探しているんだろう。)


「いや、同じ寮かもしれないってなったらそりゃ気になるよね、うん。」


頭をぶんぶんと振り、考えることをやめると、私はそそくさと204号室に向かった。



△▼△



「たるちさん？」

「そう。...たーちゃん、誰だか分かる？」


たるちか...と漏らすたーちゃんは知ってるのか知らないのか曖昧な感じだ。

(いや、知ってるけど誤魔化してる...？)

もしかしたら、たーちゃんがたるちさんなのかもしれない。
でも、たーちゃんって演劇と筋トレとかスポーツしか興味無かったと記憶しているのだが。

＿＿数年も会わなかったら変わってしまうとものなのだろうか。


「...紬。」

「んー...一緒に住んでる本人が言ってないってことは、知られたくないんじゃないかな。」


＿＿＿“本人が言ってない”ということは、たーちゃんじゃない？
それでも、ひとつ確信に迫ったことがある。


「でもさ、やっぱりこの寮にたるちさんがいるってことだよね？」

「...そうなるな。」


(やっぱりこの寮にたるちさんが...)


そう考えると、少しウキウキしてきた。
こんな少女漫画的展開、そうそうないだろう。
＿＿相手はゲーム実況者のたるちさんだが。


(恋愛フラグキタコレ。)


密かにガッツポーズをするが、2人に見られていたのか、苦笑いされてしまった。

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